2021年2号「技能と技術」誌304号
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表1 教材を適用した熊本センターのカリキュラム表2 適用した離職者訓練の概要図1 BlocklyDuinoの画面-2-ターフェースは隠蔽化されてしまっているものが多い。そこで今回は,IOやAD入力,PWMといったカリキュラムとして学ぶべきマイコンのインターフェースが制御できるツールを選定した。加えて,マイコンの周辺回路には前段のアナログ回路・デジタル回路の訓練で学んだ回路を組み込み,直近のユニットとの学習内容のつながりを意識したものとした。マイコンボードは,世の中で広く普及したArduino UNOを採用したことで,互換ボードや拡張用途のシールドも含めて,機材の選択肢に幅が広がり,また安価に実習機材をそろえることが可能となった。さらには,電子回路およびArduinoのプログラムのシミュレーションが可能なオンラインのツールを利用して,PCだけでもテキストの内容をおおむね実施できる学習環境も整備した。3.1 ビジュアルプログラミング言語ビジュアルプログラミング言語には,Google社が提供するBlocklyをArduino向けに派生させたBlocklyDuino(図1)を使用している。C言語やアセンブラ言語でコードを記述する際によく見られる記述漏れや打ち間違いを起因とする構文エラーも少ないため,初学者でも挫折しにくい学習に適したツールと言える。その結果として,本訓練中のプログラミング言語そのものの習得に割く時間を大幅に短縮することができ,本来学ぶべきインターフェース回路やIO制御プログラミングの内容にフォーカスすることが可能となった(図2)。2.2 対象ユニットと適用実績本教材は,離職者訓練の組込みマイコン技術科のカリキュラムモデル(表1)で活用することを前提としており,第1システムの第5,6ユニットの6日間(計54時間)での利用を想定している。⃝ 第5 ユニット:インタフェース回路設計1(入力・表示回路)⃝ 第6ユニット:I/O制御プログラミング(入力・表示)なお,熊本センターの組込みマイコン技術科では,令和2年に本教材を適用した訓練を2度実施している(表2)。また,中部職業能力開発促進センターのマイコンプログラム技術科でも本教材をベースとした教材を適用した実績がある。2.3 教材に採用したツールや機材の選定ポイント近年のSTEM教育の流れより,Arduinoやmicro:bit,Raspberry Pi向けのビジュアルプログラミング言語および教材は多く存在する。しかしながら,それらの大半は小中学生向けを想定しているため,ハードウェアは抽象化され,マイコンと周辺回路とのイン3.教材の内容と実習機材

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