2021年2号「技能と技術」誌304号
28/34

土壁塗り作業(荒壁塗り)完成した茶室工学実験(持ち込んだ試験体)上棟式が終わると,次は壁に竹小舞(土壁塗りの下地)を組み,材料を練って土壁を塗ります。最近の住宅は外壁をサイディング張りで仕上げるのが主流ですが,現場でもなかなか携わることができない土壁は,これから建築大工として就職する学生にとって,バウビオロギーの知識を深めるよい機会となっています。学生の就職先については9割が建築大工で,残りは現場管理や設計などの関連職種です。東日本大震災を経験した学生は地元志向が特に強く,修了後は地元の工務店へ入社し地域貢献をしたいという目標を持っています。そのため,1年後の定着率も8割程度と高く,基本的な知識が身についている人材は企業からも良い評価を得ています。また,さらに知識や技能・技術を深めたい学生には,東北職業能力開発大学校の応用課程「建築施工システム技術科」を受験し進学する道もあります。-26-進学の条件として,当校で不足している工学系の分野を補足するため,東北能開大にご協力をいただいて工学実験に参加しています。試験体は学生が考えて作成し,普段自分たちが施工している木造住宅の構造部について,工学的な数値や結果を知ることで,進学に興味を持つ学生もいます。建設業界では近年,職人の多能工化が求められており,大工の技能を有しつつ現場管理の職に就きたい学生にとっては,職業選択の幅が広がります。4.1 委託訓練・在職者訓練校内ではなく,民間企業に委託している訓練もあります。現在は3ヵ月コースの「IT基礎科」,「経理基礎科」,「医療事務科」,「介護職員初任者研修科」,4ヵ月コースの「介護職員初任者研修実習科」を実施しています。受講者が再就職に必要なスキルを身につけるための有効な訓練として,活用されています。また,校内で行う在職者訓練として,電気工事士や建築大工技能検定等の資格試験準備講習を無料で開催しています。当校を会場として行う技能検定もあり,受講者は県内各所から集まります。4.短期課程

元のページ  ../index.html#28

このブックを見る