2021年2号「技能と技術」誌304号
20/34

図3 当日の講習の様子等の情報提供の強化といった要望がなされている。また,名古屋商工会議所では「令和2年度中小企業関係施策に関する要望」において,重点要望事項として「外国人材の活用促進」が挙げられている。以上のように,商工会議所は,外国人材の活躍を後押しすべく,意見・要望活動を行っている。次に,各地商工会議所が行っている外国人材の職業能力開発に資する具体的な取組み・支援を紹介する。4.1 川口商工会議所による技術習得支援まずは,川口商工会議所による技術習得支援である。川口商工会議所は,1946年に設立され,埼玉県川口市で事業を営む企業の支援を行っている。古くから鋳物のまちとして栄えてきた川口市は,同規模の他都市と比較して,製造業を中心とする第二次産業の比率が高く,工業都市としての性格を有している。同商工会議所は,地域の産業の担い手を支援するため,産業人材育成課が,各種支援を行うとともに,監理団体として,ベトナムから技能実習生を受け入れている。外国人材のさらなる職業能力開発を行うため,地元高等技術専門校と連携し,外国人材に対し,「マシニングセンタ」の技術習得に関する講習を開催した。「マシニングセンタ」とは,平歯車づくりの工程におけるフライス削り,中ぐり,穴あけ,ねじ立て等の異種の加工を1台で行うことができる数値制御工作機械である。川口市内には機械製造業も多く,「マシニングセンタ」の技術需要が高かった。一方で,外国人労働者の技術習得に関しては,言語コミュニケーション等の面から,地元企業が対応することが難しかったため,商工会議所が支援策を検討することになった。支援策を検討した結果,地元の埼玉県立高等技術専門校と連携し,講習を開催することとなった。-18-業務を遂行する上で,実際に必要な技術をもとに講習内容を検討した上で,2019年1月19日・2月2日・16日に,同校と連携し,外国人労働者を対象とした「マシニングセンタ基礎級(実技)講習」を開催した。出席した外国人は2人で,受講後2名とも技能試験に合格した。図3は当日の講習の様子である。本講習を通じて,外国人材は,地元企業のニーズに即したスキル・能力を習得することができた。4.2 東京商工会議所によるビジネス基礎力習得支援次に,東京商工会議所によるビジネス基礎力習得支援である。東京商工会議所は,1878年に設立され,主に東京都23区の商工業者を支援している。2020年3月31日現在,会員数は81,234件を数えている。東京商工会議所は,10年間の長期ビジョン「“140(意志を)つなぐ”東商ビジョン~140th to 150th」において,「多様な人材を企業へつなぐ」を一丁目一番地に掲げ,外国人をはじめとする人材の活躍を支援している。東京商工会議所は,外国人材の職場定着を目的に,2019年3月27日,外国人社員を対象とした「ビジネスマナー研修」を実施した。当日のカリキュラムは,「①日本におけるビジネスマナーの重要性」,「②第一印象の重要性」「③あいさつ(ことば・おじぎ),「④あいさつ(名刺交換)」,「⑤日本人とのコミュニケーションをスムーズにする態度/行動/時間管理」,「⑥訪問のマナーと来客応対」,「⑦電話応対」であり,日本の商慣習4.各地商工会議所の取組み

元のページ  ../index.html#20

このブックを見る