2021年2号「技能と技術」誌304号
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図10 欠陥試験体作成マニュアル一例図11 作成風景離職者訓練において,就職先および企業実習先で鉄骨作成を行う鉄工所がある。鉄骨作成される接合部においては,名称や素材が用途に応じて仕分けされているところであるが,サイズ(規模)が大きく,離職者訓練施設においては紙面上でのみ訓練はできるものの,就業後および企業実習開始後に実際に目の当たりにするという現状であった。本教材は全体像は紙面(パネル)で把握しその「一部」を実際に作成した試験体で直接確認することができるようになっている。この作成については指導員経験の浅い若手指導員に作成を協力することで,作成する者にとっても作成の過程において知識を得ることを目的とした。⑥欠陥試験体作成マニュアル(指導者用)これまでは超音波探傷技術を有しかつ訓練指導をできる者が少なく,中国地方5県および四国より当施設まで来所し技術習得を行う在職の受講者が多かったが今回試験体を作成するマニュアル(指導員用)を作成したことから,他の溶接を訓練で行っている職業能力開発施設において超音波探傷試験体を作成および技術指導できるようになることから,各職業能力開発施設で同様の技術習得ができるようになることが見込める。そのため多くの在職者の受講が可能になることを期待して作成している。-14-本稿では鉄骨構造物制作時に使用する超音波探傷試験をテーマにした教材の紹介を行った。作成するにあたり,当施設で離職者訓練を行い,実際に現場において数年経験を積んだ離職者修了生に一部作成の協力を得ることで今後の再就職を希望する者の目標にもなることを期待して作成することができた。今回作成した教材に関わらず,普段から教材を作成する際に一番意識しながら行っていることは,「利用者が望むことは何か」である。本教材の作成の発端は,離職者・在職者訓練において超音波探傷を学ぶ者が「理屈もわかりにくく,具体的にどうしたらいいかわからない」という意見が圧倒的に多く,その困っている方の救いになりたい。その一心で作成したものである。本教材が各職業能力開発施設で利用され同様の技術習得に役立つことを期待している。今後も受講生ファーストの精神のもと,多くの受講生の力になれるよう継続してわかりやすい教材の開発を行い,魅力ある職業訓練を実施できる体制を構築していきたい。5.おわりに

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