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図4 全産業と訓練災害の特徴的イメージ図5 日本国憲法と労働安全衛生法及び労働基準法の関係インリッヒの1:29:300の理論[7]を裏付ける結果と考察される。また,訓練災害の原因分析では,「不慣れだった」「大丈夫と思った」「勘違いした」「指示通りしなかった」「指示不足」など自分勝手の判断と知識不足,技能不足,指示不足などがあげられる。重大災害は勿論のこと,軽微で些細な怪我であっても,やはり災害はゼロでなければならない。3.2 自主的活動の促進のための指針「安全衛生推進計画はどのような計画をされていますか」「計画通りに進んでいますか」と質問すると「避難訓練がある」「計画通りにやっている」「計画は知らない」など曖昧な返答である。では「避難訓練には参加されましたか」と再質問すると「参加した」が大多数であるが,中には参加していない人もいたようである。安全衛生推進計画の作成は,法規上最低限の基準を定めた安衛法に基づき作成され,実行されなければならない。計画作成上重要なことは,最低限にとどまらず率先して,安全衛生に有効な計画実行を求めている。平成11年労働省告示第53号として公表された,「労働安全衛生マネジメントシステムに関する指針」[8],いわゆるガイドラインとして出されたこの指針も積極的に取り入れることが示されている。このように,安全衛生活動を行う上で,ある程度罰則のある法的な見方をしないと,結局は言葉だけになってしまう傾向があり,労働基準監督署や消防署のご用達で終わってしまう。やはり安全衛生は法-3-順守のもとトップの基本方針に基づいて安全衛生活動をしなければならないことを十分に認識しなければならない。4.1 労働安全衛生法の目的安全衛生活動を行うに当たり,まず安衛法の目的を知らなければならない。日本国憲法と安衛法及び労働基準法の関係を図5に示めす。安衛法の目的(第1条)は,危害防止基準の確立,責任体制の明確化,自主的活動の促進の措置等を行うことによって,総合的計画的な安全衛生対策を推進し,労働者の安全と健康の確保と快適な職場環境の形成の促進を目指すことが安衛法の目的である。そのためには,労働基準法と相まって(労働時間,賃金等の労働条件の適正化)総合的,計画的に対策を推進しなければならない。ここで言う「責任体制の明確化」とは,個々の職制の責任と権限を明確にすると共に,その責任と権限のもとで,何をどのように実施するかの基準,方法を明確にしておく必要がある。「労働災害防止基準の確立」は,安衛法に基づく安全衛生管理体制を確立し,安全衛生管理規程に基づいて課せられた事業者(雇用主)の責任と義務を確実に果たしていくことは勿論のこと,安全配慮義務のもとで,物的環4.職業訓練と労働安全衛生法の関係

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