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屋を建ててしまっている例も見られる。一度,建物が建てられると,既得権の観点から,その面での指導に入るのが難しくなっているのではないかと推測する。耐津波学については,「耐津波学の構築が必要だと考える。津波調査は書物調査のみならず地質学的調査,津波に耐えられる構造の研究,特に遡上津波の挙動のシミュレーションの開発が求められ,また防災教育も必要である」との発言あり(rf.参考資料18)。災害と国土政策については,「国土政策は50年先を見越して検討することが大切~大規模市街地は,徹底して耐震建築化するのが良い~第1ステップとして,道路形状を維持し,RC造建築物で津波避難ビルを構築,第2ステップとして巨大災害発生時に短時間で避難できるように商店や事務所・住宅を配置~首都直下・東海・東南海・南海大震災への対応として,耐震・耐火建築化を進める~人口・諸機能が集中している大規模市街地では,徹底的に耐火建築区域を設定~原子力発電所等エネルギー基地については,巨大地震における主要活断層・想定震源域・海溝型地震の領域等を考慮して配置~耐震岸壁の拡充と港湾と河川を連携したロジスティクス整備~災害時に相互扶助機能を発揮する広域的な地域間連携の推進を行えるように,太平洋側と日本海側,東日本側と西日本側の4つに分けた地域間によるバックアップ体制」の発言あり(rf.参考資料18)。同じく,災害と国土政策について,「国土政策は長期的,全国的な視点に立つ物的計画に即した政策~避難教育訓練が必要~新幹線などの既存の重要施設では,ストレステストの実施と必要な強化対策を義務化する~新規の重要施設の整備に際しては,災害アセスメントを義務付ける~耐津波土地利用規制を導入~レベル1に対して構造物の津波への安全性確保~これを満たせないものは既存不適格として建造物の移転,更新を促進~レベル2に対しては人命確保を主眼に避難場所の確保を施した上で新設を許可~」の発言あり(rf.参考資料18)。減災社会については,「~日本全体にわたって防災教育への本格的な取り組みが非常に遅れている~わが国の最近の災害環境は非常に加速している~地震,洪-25-水,高潮,噴火,どれも活発化している~東京で特に心配なことは,時空間で被害の様相が複合化する都市災害~「日常防災の重要性」があらためて認識された~災害の危機管理と防災体制の基本~危機管理の基本は,災害のメカニズムを知り(knowing hazard),弱いところを知り(knowing vulnerability),対策を知ること(knowing counter-measures)~防災体制の基本は自助・共助・公助~Resilient Societyにしていく~」の発言あり(rf.参考資料18)。減災と防災計画については,「防災対策は7つある。被害抑止,被害軽減,予知・早期警報,被害評価,災害対応,復旧・復興~発災までがリスクマネジメント(リスク管理),発災後がクライシスマネジメント(危機管理)と呼んでいる~オールジャパンで防災力を高めるためには,災害の規模に応じて支援の相手と支援のあり方を事前に相互に整備しておくことが必要だ」の発言あり(rf.参考資料18)。4.3. 自主避難対策について山がちな地形の島国に住む我々が,自然災害も多く体験する我々が,いのちを守る最後の砦は,自主避難である。現在,台風などによる災害に対する処し方は,最初に,避難準備→避難勧告→避難指示となっている。早い段階から,自主避難できる受け入れ態勢づくりが必要である。4.4. 考慮するべきポイントこの重層化した国造りの中で,集積回路としての機能確保をしながら,防災・減災の手立てを志向していくこととなる。日本の計装技術を,この集積回路にセットすることにより,危険予知技術を高めることは有効な方法である。水に関する災害に関する防災・減災の考え方にも,国としての意思決定のルールづくりが必要とされる。

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