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筆者は,その時点で参考文献に示す原稿にまとめているので,そこからの引用の形を取ることとする。日本の水災害の中の津波災害については,「~海溝付近に起こる津波地震は,日本海溝ではプレートの沈み込みによってどこでも起こる可能性がある~今後を考えると日本の進んだ海底観測技術の役割は大きい,海底の動きがわかるようになり,海溝に沿ってどれだけ地震を起こすポテンシャルを持っているかを推定する技術~余震は長く続き,海溝では6~7年は継続すると考えてよい~」の発言あり(rf.参考文献18)。この地震と津波災害の後に,太平洋側の海底には事前予測のための海底ケーブルが敷設された。今後の日本の減災対策の一つの方法論として,有効である。その発生メカニズムについては,「~発生サイクルのスケールをどう考えるか~中央防災会議の最終合意を得た3つのキーワード:切迫性(30年以内に発生する確率),周期性(過去起きているか),重大性(起こるであろう被害の程度)~北部では第二段階の津波が卓越している,三陸では陸上で津波が増幅する傾向が見られた,巨大な津波は簡単にエネルギー減衰しない~津波災害の特徴として,直接被害に加え間接被害,特に漂流物(がれき,植生,車両など)が被害を拡大~津波火災は大きい課題~」の発言あり(rf.参考資料18)。災害に適応能力がある強靱な社会~学術会議が2008年に地球温暖化の変化に伴う水災害への適応ということで,水災害に適応能力が高く強靱な社会(Disaster Resilient Society)を目指すという提言をしている~災害に対するレジリエンスの4要素「リスク認識・評価」「物的・社会的インフラ」「抵抗力」「備え」を備え持つという上では,社会そのもののファンダメンタルズ(基礎的条件)がきちんとしていなければいけない~こうした社会の基本要素を兼ね備えた社会をまずつくることが重要」の発言あり(rf.参考資料18)。応用地質に関する課題については,「津波堆積物,土地の成り立ち,地震に脆弱な場,崩壊危機性,亜炭炭鉱の分布,活断層と認定されていない断層などのデーターを整備する必要がある~」の発言あり(rf.参考資料19)。上記の内容は,地震と地盤との関係を論じているものである。一方,2017年から2018年にかけての西-24-日本や九州地方での集中豪雨による被害は,集中豪雨と花崗岩質地盤の崩壊メカニズムの関係であり,これは別途,協議するべき課題である。下水処理場の被害や電気系統の被害については,「下水処理施設の過半数が海岸部にあり,最も低い場所に位置するが,津波被害は想定していなかった~電気系の被害が大きな影響を与えた~津波による下水道被害として,津波の水圧・衝撃力,漂流物激突,海水の浸入による電気系統の被害があり,複合災害も考慮する必要がある~東北エリア沿岸の120の下水処理場が同時被災したということが問題~不十分な処理による水を排出した結果,養殖業に対する影響が危惧される~電気・計測の縮退運転,電気・計測施設の2階への移転・防水化」の発言あり(rf.参考資料19)。土砂災害については,「土砂災害→土砂崩壊は,地震発生後,何年もたってから(74年後~など)発生する例がある→~事故後の対策が多い~天然湖の水を流すなど→避難に活用できる管理用通路(避難階段など)」の発言あり(rf.参考資料20)。自然災害については,「自然災害が多い,国土の7割が山地である,標高500m以上の箇所多い(対英国),急な河川がある(対フランス),最新地盤工学技術の有効性(耐震設計基準の大規模施設は被害が少ない)~」の発言あり(rf.参考資料20)。現下の地理的立地条件に住む我々は,常に,防災・減災の観点から,街づくりも進めるべきである。近年の九州地区や広島地区での集中豪雨による花崗岩質真砂土の土砂災害や河川の氾濫による災害,2018年8月の9回に及ぶ記録的な台風の来襲,それらは自然の営みであるが,自然界と人間界の切り分けがはっきりとなされていないことに因る災害発生であると考えられる。本来は,自然界の営みの観点からは人家を建てるにふさわしくない条件の所に,建

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