book
21/40

含まれている。20世紀の後半に,ローマクラブが地球環境の将来性に警鐘を鳴らしたことがあった。そして今,地球環境問題は,世界全体で取り組まなければならない状態に至り,世界は共に協力し合っていこうとしている転換点にある。難民を生み出す戦争の放棄についても,いまだ,世界の中のローカルな問題として取り扱われている。これが世界全体に影響を及ぼす事態となれば,世界は手を取り合って,協力せざるを得ないであろう。世界は,一つにつながっている。今回取り扱っている水の問題も,CO2削減を目指す空気の問題も,我々にとっては,死活問題である。2.3.4. 新技術への展望日本における水に関する計測技術には評価できる内容のものが多くある。東京都の大都市における水道管の施設管理は,常時,その水圧を自動計測することによって,すべてが管理下に置かれているとの報告があった。これまでの災害状況の分析から,給水管の耐震仕様化は進められ,有事の際の対処として,都内各所には必要な部材がストックされているとの報告があった。計測技術を使った減災対策は,日本の地理的条件に対する技術的対処策としては,一定程度の有効性がある。今後,AI技術の活用によって,AIデーターが集積され,Singularityの2045年以降,AI思考過程が駆使されることとなる。そのためには,AI案の思考過程の見える化が必要とされる。都市生活において,上層階に上げられた上水は,使用後に,排水・雑排水として,下階へ送り出されることとなる。都市空間におけるこれらの水の循環においても,水は地球環境の中の水として循環され,この地球環境の中の全体の水メカニズムの中で,自然な形で取り込まれていく。この都市空間への入り-19-の姿と,都市空間からの出の姿とを捉えて,その入りと出の前後の水のメカニズムにおいては,水が本来保有する自然の姿に戻すことが,今の人間社会には義務付けられていると認識すべきである。2.4. 考慮するべきポイント水の働きは,生命の誕生から,その生命維持の働き,我々の社会生活の中での働き,そして水に関する被害まで,その捉え方は多岐に及んでいる。水が,水の生きた働きを,この地上でなし終えて,天空に戻るまでの間,人間社会との良い関係を築きたいものである。しかしながら,人間の側の一方的な経済行為によって,水は人間社会に災害をもたらす存在関係となってしまっている。3.1. シンポジウムよりこれは,今回のシンポジウムの課題である水の働きに着目し,ソーラーコミュニティー論における水の働きをまとめ上げ,発表したものである。3.ソーラーコミュニティー論と水の働き

元のページ  ../index.html#21

このブックを見る