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<参考文献>つ手を覚えて,瞬時に,その手を使うことが出来る「計算能力」の速さに優れているに過ぎないからです。第4次産業革命において,米国の優位は揺るぎそうにありません。なぜ米国が,コンピュータ・ネットワークやAIなどを生かした新産業を産み出すことが出来ているのかを考える必要があります。米国ではベンチャーを立ち上げやすい点もありますが,筆者は教育にその原点があると考えます。それは,世界中から留学生が米国の大学・大学院に集まることからも明らかです。米国における教育の特徴の第一は,「天才児教育」です。個人の才能を尊重する教育です。革命を起こす天才「ギフテッド」を発掘して育てるギフテッド教育です。ギフテッド教育は1920年代から始められています(4)。第二はSTEM(幹)といわれる国を挙げてのコンピュータ教育です。STEMとは科学・技術・工学・数学の頭文字であり,オバマ大統領が熱心に取り組み,自身も子供たちにプログラミングへの興味を持たせるためのイベントであるHour Of Code運動に参加したことは,良く知られています(5)。日本においても小学校におけるプログラミング教育が必修化されることが決まっており,「大学入学共通テスト」でも,プログラミングなどの情報科目が導入される予定となりました(6)。その成果に期待したいところであります。コンピュータ・リテラシーについて持論を述べたいと思います。開発者・研究者・技術者が,自身でプログラムを組んで,目的を達成するのが最も効率的であります。グーグルやフェイスブックでは開発おおえ しゅうぞう略歴工学博士(東京都立大学),日本開発工学会長1962年 石川島播磨重工業㈱(現IHI㈱)入社1963年 会社より東京都立大学大学院に国内留学1973年 米国Fractionation Research Inc.にて新製品開発に従事1975年 石川島播磨重工業㈱ 技術研究所 主任研究員1980年 東海大学工学部助教授1982年 東海大学工学部教授1990年 東海大学工学部工業化学科主任教授1991年 東京理科大学工学部教授2001年 東京理科大学図書館長2008年 米国化学工学会(AIChE)にて日本人として初の表彰専門:化学工学,蒸留工学-2-(1)https://unyoo.jp/2018/02/alphabet-2017q4/(2)https://www.sankei.com/economy/news/180202/(3)https://clicccar.com/2018/02/08/557103/(4)https://www.mag2.com/p/money/523913(5)https://jp.techcrunch.com/2014/12/09/(6)日本経済新聞夕刊・土曜版 2018年11月10日1面 (7)M. Hirata, S. Ohe, K. Nagahama, ”Computer Aided Data Book of Vapor-Liquid Equilibria”, Elsevier, 1975.(8)R. C. Reid, AIChE Journal, vol.22, No.5, p.957, 1976(9)http://rikokei.jp者が自身でプログラムを組んでいます。自分のことですが,35歳の時にコンピュータを用いてデータを処理して出版しました(7)。幸いにも,マサチューセッツ工科大学教授が学術誌で高く評価しました(8)。そのために広く世界中の技術者に利用して頂くことが出来たのです。最後に,学生諸君が自由に応募できる「理工系学生科学技術論文コンクール」をお知らせします(9)。主題は「科学技術と日本の将来」であり,副題は自由につけられます。この論文コンクールは毎年開催されていて,締め切りは1月末日です。最優秀論文は文部科学大臣から賞状と楯が送られ,日刊工業新聞社から賞金が出ます。既に18回を数えています。毎年,全国から多数の応募があり,入賞者は表彰式に招待されます。科学技術と日本の将来について日頃考えていることを論文としてまとめるには絶好の機会ですので,応募されてはいかがですか。詳細はホームページをご覧ください(9)。

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