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表2 平成29年度訓練生B・Cのアンケート結果<参考資料>ものの,彼のこれからの職業人としての人生に大きな役割を果たすことができた。そして平成29年度,訓練生Bが全国の障害者職業能力開発施設から初めて敢闘賞に輝いた。障害のある訓練生としてだけではなく,僅か3か月余りの短期間の訓練での入賞は,まさに快挙である。この入賞は,障害のある人もない人も公平に評価された意義のあるものである。訓練生Cも,結果は残す事はできなかったものの十分に健闘した。聴覚に障害のある訓練生B・Cの競技終了後のアンケート結果の一部を記す。大会参加を勧める中で,私は彼らに「大会出場することで,今まで見たことの無い世界を経験することができる」と話をした。大会を通じ,技能の大切-10-1) 日本障害者フォーラム(JDF),『障害者差別解消法ってなに?』,2013年2) 独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構,『コミック版3 障害者雇用マニュアル 聴覚障害者と働く』,2016年10月3) HIFUMIYO TIMES,「ポーランドの右前腕のない,卓球 ナタリア・パルティカ選手」,https://1234times.jp/article_3795.htmlさ,障害に負けない気持ちなど数えきれないくらいの事柄を彼らは学んだ。大会出場は,大きな成果と成長があったといえる。リオオリンピックの卓球女子ダブルスの中継で,福原愛選手と対戦しているポーランドの女子選手に驚きと感動を覚えた。彼女の名はナタリア・パルティカと言い,隻腕で生まれつき右ひじから先が無いハンディがあった。彼女はパラリンピックには5度出場しているだけなく,オリンピックにも,北京,ロンドン,リオでポーランド代表として活躍していた。彼女は「障害なんてなんとも思わない,みんなと同じ選手」と話している3)。オリンピックとパラリンピックの二つの大会に挑むアスリートは多い。我々技能の世界も同じではないだろうか。若年者ものづくり競技大会で優秀な成績を収めた者の中には,技能五輪へ進む者もいる。若年者ものづくり競技大会で優秀な成績を収めた障害者は,全国障害者技能競技大会や技能五輪へ進んでも良いのである。そう目標とすることが,健常者と障害者と分ける隔たりをなくすことになる。このことは,障害のある者に大きな刺激と希望を与えるに違いない。平成29年度の若年者ものづくり競技大会で入賞した訓練生Bは,平成30年度に沖縄で開催された第38回全国障害者技能競技大会(アビリンピック)機械CAD種目で金賞の栄誉を収め,そして次年度の技能五輪を目指している。今後も,障害のある訓練生を若年者ものづくり競技大会へ,障害者技能競技大会へ,技能五輪へ導いていきたい。4.おわりに

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