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表1 訓練場面での困り感感は,次のようなものが考えられます。表1に示します。3.1 障害特性へのアプローチ障害特性へのアプローチとして特に,自閉症児・者向けに開発された『TEACCHプログラム』4)に注目しました。なお,TEACCHプログラムを参考にして自閉症児・者の特性に対してデザインした訓練だとしても,他の訓練生にとって負担とはならないように,または,わかりやすい訓練にするというプラスの側面が生まれるように取り組みました。3.1.1 感覚過敏発達障害者の中には五感に過敏(または鈍感)な場合があります。どの感覚か,また重複しているかは人それぞれですが,視覚であれば健常者では気にならない蛍光灯の点滅が気になったり,窓のブラインドの光の反射が目に入りとてもまぶしく感じたり-5-します。これは目を閉じても残像として目に焼き付くため,見えづらさや集中力低下といった困り感として現れます。聴覚過敏であれば,蛍光灯の安定器不良のジーという環境音に集中力を奪われる等,大きな精神的負担となります。これらの感覚過敏を軽減するため,視覚過敏ですと,遮光眼鏡をかけるなどの自衛的な方法以外に,座る席の位置を変える,蛍光灯を間接照明とする,液晶ディスプレイの明るさを下げるなどの工夫や,聴覚過敏であれば,環境音をカットし音声だけが聞こえるデジタル耳栓の活用や活動の場所を移動したりするなどで対処します。3.1.2 メモを取る,口述筆記など文字で見える聴覚からの情報だと情報の重みづけができず,何が重要であるかぼけてしまうことがあります。そのため,発言をメモやPCに打ち込むようにします。文字で見える化することで,要点が絞られるため,緊張すると言葉が出にくくなる場合にも有効で情報を整理しやすくなります。3.1.3 時間の構造化グループワークの流れ,テーマの決定,討議,発表,フィードバックを一単位として,それぞれ,何分でするのか,その締め切り時間は何時までなのか,休憩時間は何時まで与えられるのか,次のテーマへまた流れていき,グループワークが繰り返されるといった時間の流れを具体的に示していきます。こうすることで,見通しが立ち,優先順位を認識でき,行動のコントロールがしやすくなります。3.1.4 展開の構造化この訓練では,同じパターンの繰り返しという展開にしてつかみやすくします。慣れからくるスピード感のみならず,チームとしての一体感も増していきます。3.1.5 共有化情報を集めまとめ上げていきますが,情報をそれ化する3.訓練実施上の障害特性へのアプローチと配慮

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