2/2018
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表2 獲得した金メダルの数中国,ロシアの躍進,ヨーロッパ勢の活躍が印象的であった。中国は出場を始めてから4大会目で韓国を抜いて金メダル,またメダルの獲得数で1位となった(表2)。中国もロシアもそれぞれ自国での国際大会,すなわち2021年上海大会,2019年カザン大会の開催を控えており,国を挙げて選手強化に取り組んでいる結果としてこの成果ありといえる。日本選手は表1のうち(*)を付した職種を除く40職種に参加した。結果は金メダル3個,銀メダル2個,銅メダル4個,敢闘賞17個であった。金メダル獲得職種は「情報ネットワーク施工」(7連覇),「製造チームチャレンジ」(2連覇),「メカトロニクス」である。銀メダル獲得職種は「CNCフライス盤」,「溶接」である。また銅メダル獲得職種は「移動式ロボット」,「自動車工」,「ITネットワークシステム管理」,「プラスティック金型」である。金メダルの数で日本は9位となった。前回のサンパウロ大会に比べると金メダルの数を2個減らし,銀メダル,銅メダルも1個ずつ減らしてメダル総数では4個減となった。一方,敢闘賞は全体では前回より3個増やした。前回メダルを獲得していた職種に多い。生業系の職種ではメダルの獲得がなかった。アブダビ大会まで日本は33大会に出場して金メダルの数で1位を8度記録している。最近では2005年のヘルシンキ大会,2007年の静岡大会である。1999年-32-のモントリオール大会以降,サンパウロ大会までライプチヒ大会(4位)を除き3位以内を確保してきた。しかし,今回はこれまでの最低8位(第34回ザンクトガレン大会)を下回り,史上最低の9位となった。総メダル数でも9位(前大会5位),また総メダルポイント数でも9位(前大会6位),平均メダルポイントでは13位(前大会8位)と大きく後退した。ここで,メダルポイントとは金4点,銀3点,銅2点,敢闘賞1点として換算し合計したポイントのことである。メダル獲得はその職種での選手の卓越を示すが,メダルポイントは参加選手数に比例した技能の総力であり,その平均は参加した選手の平均的なレベルを示しているといえる。したがって,平均メダルポイントが下がったことは,参加した選手全体として参加国の中で相対的な得点が下がったことを意味していると考えられる。大会に参加した各職種のエキスパートからのアンケート結果や,総括検討委員会で指摘が多かった主な要因を5つ挙げる。①インフラリスト(大会組織が提供する部材,機材)の変更,競技課題の変更,度重なるスケジュールの変更 ほとんどの職種でインフラリストの準備状況に関して言えば,少なくともここ10年内で最低の大会であったとされる。部材や機材がそろわず,競技課題をキャンセルまた変更した職種が多数あった。また,競技日初日の実施が不可となった職種もあった。②外部作成競技課題の増加 前大会6職種から今大会28職種で外部作成競技課題を取り入れた。事前公開とする競技課題では公開時期が遅く訓練する時間が十分とれない職種があった。③競技課題の内容 国際大会の競技課題がもともと全国大会の競技課題と乖離している職種に限らず②の点もあり,多くの職種で課題内容の差が広がったといえる。4.アブダビ大会の結果5.成績不振の要因

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