2/2018
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-18-4.1 コミュニケーションと信頼関係「1.はじめに」にも記載したとおり,就職支援には「連携」「協力」が付き物で,そのためには細やかな「報告・連絡・相談」が必須である。文字にすれば,二字熟語に過ぎないが,指導員同士,また,指導員とアドバイザー等が,「Aさんが○○みたいですよ。」「Bさんが△△をされましたよ。」というほんの些細な,そして短時間のコミュニケーションを日々繰り返し,連携・協力体制による就職支援を行っている。クラスの雰囲気づくりも同様である。例えば,「Cさん,風邪はどう?」「Dさん,グループワークでリーダーシップをとれていたよ。」など,訓練,朝礼,個別面談などを通して行われる指導員と受講者との日々のキャッチボールは,受講者の訓練内容の習得や就職へのモチベーションを維持・向上させている。これらのことからすると,連携,協力,雰囲気づくりの実態は,結局のところ「コミュニケーション」であり,その根源には信頼関係があると考える。そうすると,就職支援に必要なものは,知識・技法・経験のほか,コミュニケーションスキルと信頼関係ということになる。4.2 志・当事者意識・覚悟何か事に取り組むとき,その成功に必要なものは,「志」「当事者意識」,そして「覚悟」であると耳にしたことがある。その取組に対してどんな思いを持っているのか,誰かではなく,“私が私の問題として取り組むんだ”という強い意識,困難なことがあっても“何が何でもやり遂げるんだ”という覚悟だそうだ。現場で実務に携わっていると,就職支援にもこれらは必要であると感じる。ただ,就職支援は個人で行うものではなく,ポリテクセンターというチームで行うことからすると,個々の職員だけでなく,施設全体としての「志」「当事者意識」,そして「覚悟」が必要ということになる。4.3 環境平成30年通達に,施設長,担当課長,指導員,受講者担当係,アドバイザー,職業相談員の基本的役割が明記された。それぞれの役割に応じて,同通達に記される具体的な取組をそれぞれの職員が実施するには,大前提として,スキルを発揮できる環境が必要である。例えば,就職支援に必要なものとしてコミュニケーションを挙げたが,そもそも職員が互いに尊重し,信頼し合い,風通しのよい職場でなければコミュニケーションはとれない。「趣味は仕事でしょ」「仕事,好きだね」と私に言う人がいるが,それは違う。私は,当たり前のことを当たり前のこととしてやっている,そういう認識でしかない。しかし,思いはある。それは,何か。就職支援においては,相談されるひとりひとりが,その人にとって幸せな人生を送って欲しいという願いである。正社員として長く安定して働き,スキルアップしたいという受講者もいれば,就業経験が少なく,まずはやってみて,やっていけるか試したいという受講者もいるし,障がいや持病,家庭事情から短時間勤務を希望する受講者もいる。だから,それぞれの価値観を尊重し,ライフキャリアという観点で支援しているつもりである。また,ポリテクセンターは,専門的な知識や技術を習得する以上に,これからの人生を生きるうえで必要なヒューマンスキルやパワー,仲間を得ることができる場であるという思いである。このことは,受講者からも伝えられるし,ポリテクセンターで受講者と関わるなかで,時間の経過とともに変化する受講者の表情からも感じられる。できればそれぞれの取組のねらいや関係性なども記したかったが,これらは皆様の想像に委ねたい。最後に,就職支援に携わる機会を与えていただき,環境づくりにご協力いただいた皆様,ともに就職支援に取り組んでいただいた皆様,そして出稿の機会をいただいた皆様に,この場をお借りして感謝申し上げる。ありがとうございました。4.まとめ -就職支援に必要なもの-5.おわりに

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