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<参考文献>PLC課題で使用する負荷装置の機器構成および電気設備異常診断課題で使用する装置の内容は事前に公表される。また,これと同時に,2.4項で述べた採点の概要(表2),選手が持参する材料および工具,支給される部品リスト,競技全般に関する注意事項等が公表されるが,これらの取り決め事項の基準となっているものが「職種定義」である。職種定義では,競技課題の概要および作成の手続き,課題に必要となる作業要素などを含めた課題への要求事項,競技エリアの大きさや作業台に関する設備基準,安全に関する基本的な考え方,持参した工具およびPLCの確認手順などの競技運営に必要な事項のほか,公正な競技運営のための職種連絡会の設置が決められている。3.2 競技委員の役割と職種連絡会現在,工場電気設備職種の競技委員は,職業能力開発総合大学校(以下,「職業大」という。)の教員3名(主査1名を含む。),職業大以外の独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構の指導員1名,都道府県の指導員1名,一般企業2名の計7名であり,競技課題の作成や全国大会の競技運営が主な役割である。競技へ参加する企業の担当者と競技委員をメンバーとする職種連絡会は,職種定義に基づいて,企業ニーズにマッチした工場電気設備の発展と選手育成および公正な競技運営を目的として設置され,年間4回開催される。この職種連絡会では,競技課題の確認,競技の運営方法,全国大会の報告のほか,新しい課題の検討,工具の見直し,職種定義の見直しなど本職種競技に関する全てのことが話し合われる。3.3 職種競技の開催状況全国大会における本職種の競技日は土曜日となっている。前日の金曜日には,職種の開会式に引き続いて,各選手の競技エリアおよび課題の抽選が行われる。その後,約3.5時間をかけて,競技エリアの準備,工具の展開,材料の展開が行われる。また,並行して競技委員と企業関係者が各競技エリアを巡回して,持参工具および持参材料が規定された-23-(1) 中央職業能力開発協会:「技能競技大会を活用した人材育成の取組マニュアル 工場電気設備職種編」,(平成27年3月)(2) 第55回技能五輪全国大会「工場電気設備」職種課題,[http://www.javada.or.jp/jigyou/gino/zenkoku/n_55/kadai/17/17_01kyougikadai_5520170912.pdf] <2018.01>ものであるかの確認とPLCの初期状態を確認する。競技日に競技開始のホイッスルが鳴り配電盤・制御盤課題がスタートすると,選手は前日とは打って変わって躍動感に溢れた作業を始める。序盤では作業手順により各選手の異なる作業,終盤では各選手が同じようなタイミングで動作試験や仕上げ作業に入る。2017年の第55回全国大会までの過去5年間の参加選手数は,7名から14名であり,近年増加の傾向にある。また,第56回全国大会および第57回全国大会へ新規に参加を表明している企業も現れている。全国大会は,青年技能者がその技能レベルの日本一を競うことにより,国内の青年技能者の技能水準の向上を図り,併せて技能尊重気運の醸成を図ることを目的としている。また,国際大会は,国際的に技能を競うことにより,参加国の職業訓練の振興および技能水準の向上を図るとともに,青年技能者の国際交流と親善を目的としている。全国大会は,国際大会へ出場する日本代表選手を選抜する大会であり,優勝者のみが国際大会の出場権を得る。この一方で,全国大会に参加する企業や職業訓練施設にとっては,企業・学校のイメージの向上や技術レベルの底上げ,人材育成などの目的もある。これらを考慮すれば,単に全国大会の課題を国際大会の課題内容に近づけることだけが,全国大会の課題のあるべき姿ではないと考える。今後は,全国大会へ参加する企業等のニーズを踏まえ,国内の技術者の育成と国際大会での日本人選手の躍進の双方に資する競技課題へ向けて課題の見直しを行っていきたいと考えている。本稿が,工場電気設備職種に関わる方々の参考になれば幸いである。4.おわりに

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