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MCS研究所 山本 邦雄2007年問題以降,オペレータを育成することにチャレンジしてきたが,今なお2007年問題は,解決されていない。そのため,定年延長やノウハウ継承という名目で60歳台後半のオペレータが現場で作業を行っている。今回,IoT(Internet of Things)の進展により,IoTを活用することで,ベテランオペレータや中堅オペレータを短期間で育成することができる方法とシステムを開発した。本手法やシステムは,特許出願中である。2.1 海外について海外は,契約社会であり生産品種が少ない,かつ意思決定は管理者が行うという文化である。(1)契約社会,少品種大量生産,最新鋭の装置海外は,契約に従って生産をおこなう。つまり納期が契約時に決まっており,突発的な受注は少なく,生産品種も日本と比較すると十数分の一である。また,最新鋭の装置を導入することで,生産性を向上させている。(2)意思決定は管理者海外は,管理者が現場をコントロールする社会である。管理者が現場に対し標準化を徹底し,マニュアル通りに運用させ,誰でも同じ操作になることを重視する(マクドナルド方式)。少ない資本で短時間に高収益を得るという効率性-3-が優先され,現場要員は自ら考えるということはせず,管理者から指示された通りに作業を行う。これにより規格化されたオペレーションが実行可能になる(品質の均一化オペレーション)。2.2 日本について日本は,契約社会ではなく,生産品種も多く,皆で討議する社会である。(1)契約以外の取引,多品種少量生産,旧装置日本においても契約は行うが,特急注文などが多いため,需要予測の精度が悪く,注文確定が2,3日前になることが多い。また,国内に同じ製品を製造している会社が多く,かつ製品ラインアップが多くあり生産品目の数が多い。また,日本では古い装置を大事に活用している。古い装置のために生産性が向上しないという人もいるが,一方でフレキシビリティがあり,多品種少量製品の製造に適しているのも事実である。(2)皆で討議する社会生産品目の多さや特急注文などの変動要素を鑑みながら,現場と人間が一体となり,ベテラン(匠)と若手が混在となって擦り合わせを行いながら,最適な生産作業を進めている。『擦り合わせは人と人の関係が密になる必要があり,それには,ワイガヤの環境を整えることが重要で,労力と時間がかかる(1)。この擦り合わせの中において,匠がポイントを口頭で伝えながら手取り足取りで操作を教えることでノウハウが継承されている。(3)日本型生産現場の現状このように海外と日本では,生産現場における体1.はじめに2.海外と国内の文化の違いIoTを活用したベテランオペレータや中堅オペレータの育成方法

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