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の専門職短期大学があり,前期課程及び後期課程の区分制課程も導入できることになっており,前期課程修了後,一旦就職してから後期課程への再入学,社会人が学び直しのために後期課程から入学するなど,多様な学習スタイルを選択できる。③教員実務家教員を教員組織の中に積極的に位置づけ,必要専任教員数のおおむね4割以上を実務家教員とし,その半数以上は研究能力を併せ有する実務家教員とする。④学位専門職大学を卒業した者に対し「学士(専門職)」の学位を,専門職短期大学を卒業した者に対し「短期大学士(専門職)」の学位を授与し,また,専門職大学の前期課程を修了した者に対し「短期大学士(専門職)」の学位を授与する。⑤修業年限の通算社会人の学び直しを推進するため,実務の経験を有する者が専門職大学等に入学する場合に,当該入学者の実務経験を通じた能力習得を勘案して,一定期間を修業年限に通算できる。⑥認証評価専門職大学等の認証評価においては,専門分野の特性に応じたいわゆる分野別評価を行う。専門学校において,職業教育の質向上に向けた取り組みや,職業実践専門課程の認定を申請し,自らの教育の高度化を図る動きは,職業教育により社会に貢献する実績を積んでいる自負と,その取り組みについて社会的な認知を得ることが主な動機となっている。さらに長年高等教育機関として認められながらも一条校という位置づけが与えられず,未だ国からの教育助成を受けていない立場を段階的に解消したいという考えも背景に存在した。しかし,新たに制度化された専門職大学は,国際通用性の議論から大学体系の内容となり,専門学校が入り込むのは大変困難な仕組みとなっている。したがって,専門学校は専門学校として今後さら-41-に複線化された教育機関の中でさらなる特徴化と社会的認知を得る活動をしてゆかなければならない立場にあるといえる。大学は,学術研究的な教育のもと応用的能力を育成しており,卒業した若者は幅広い業種の中でその応用力を開花させる。つまり,社会のニーズに対応した具体的な職業能力を教育する構造にはなっていない。一方専門学校は,それぞれの産業から求められる特化した職業能力をカリキュラム化し,実践的に体験的な学習のもと各業種の即戦力として活躍できる能力を育成している。日本の産業における人材ニーズに対し,教育の比重をどこに傾ける必要があるかは明らかであると考える。また,我が国では,普通教育志向の進学者が拡大しており,明確な進路意識・目的意識を持たないまま進学している者も多い。専門学校は,高校生等の進路として実績があるのに,高校の進路指導上,専門学校の情報が極めて少なく,認知度が低いと言われている。その理由の一つに,高校現場における大学へ傾倒している進路指導の在り方がある。高校のレベルが古くから大学進学者数で評価される傾向や,職業体験を持たない教員の進路指導が要因として考えられる。高校卒業後の進路に対する情報提供の不足が若者の将来選択に影響を与えることの無いよう早急な改善が望まれる。職業実践専門課程は,まだスタートしたばかりではあるが,次の段階において「先導的試行」をさらに形の見えるものにしてゆく必要がある。自己評価の義務化も平成18年の学校教育法改正によりスタートしてから10年が過ぎた。今後,専門学校の価値を広く社会に伝えてゆくためにも,学校自身による教育の質の点検・評価と改善に関する主体的な取り組み(内部質保証)を進めることが重要になってくる。また,職業実践専門課程の質保証・向上の観点からは,認定後の取組充実の状況を確認し,促進する枠組みとして,第三者評価の導入を進めていくことが6.今後の課題・考察7.おわりに

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