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図2 第54回大会の作品図3 第54回大会の得点分布<参考文献>先輩社員もかつては技能五輪の選手であることがほとんどである。自分の経験を生かし,作業の効率化や効果的な練習方法などについて日々研究しながら,選手とともに技能五輪に挑んでいる。6.1 参加選手数2007~2016年の過去10年間の技能五輪電工職種の参加選手数は,36~47名の間で推移していたが,2017年開催の第55回大会では50名となった。参加企業数もこれまでの11社から13社に増えた。選手の数を増やしていきたいと考えている企業も多く,今後も参加選手数が増加することが予想される。6.2 競技の見どころ電工職種の競技の見どころは,選手による計算された作業の進め方と,きびきびとした無駄のない動きである。電工職種の特徴の一つは,選手が扱う器具・材料の種類の多さである。その数は100種類を超える。このことは,選手が行う作業の種類も多様であることを意味する。金属管の曲げ作業のようにスポーツの競技のようなダイナミックな動きがあるかと思えば,制御回路の配線作業のような細やかな作業もある。競技中,工具を次々と変えながら様々な作業を展開していく選手の姿には目を奪われる。6.3 成績図2に第54回大会の作品の写真を,図3に得点分-36-(1) 中央職業能力開発協会:「技能競技大会を活用した人材育成の取組マニュアル 電工職種編」,平成26年厚生労働省委託事業(平成27年3月)布を示す。このときの参加選手は46名で,金賞1名,銀賞2名,銅賞3名,敢闘賞9名であった。銅賞までの選手全員が90点以上,敢闘賞の選手でも80点以上というハイレベルな大会であった。特に金賞の選手の得点は98.2点であり,減点が2点未満というほぼ完璧な内容であった。この選手は,2017年にアブダビで開催された第44回技能五輪世界大会の日本代表として出場した。技能五輪に挑戦することの意義は,単に高度な技能を習得するということだけではない。安全に対する意識,効率的に作業を進める能力,的確な判断力,整理・整頓の習慣,規律など,現場で働く技能者として,さらには,職長などの現場リーダとして必要な多くの素養が養われる。技能五輪が単なる競技大会で終わるのではなく,選手として取り組んだ経験が,その後の業務に効果的に生かすことができるようにすることが,競技委員の重要な役割である。6.技能五輪電工職種の開催状況7.おわりに

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