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表1 電工職種の採点項目表課題として公開される。さらに,公表された課題に対して約一か月程度の期間,質問・意見を受け付ける。これに対して競技委員が検討・回答するとともに,必要に応じて競技課題を修正する。競技課題の非公表部分および当日変更する部分については,競技委員のみで検討する。これらは,選手の対応力をみる重要な部分となるため,試演を行うなどして慎重に決定される。3.3 採点基準各選手の持ち点を100点とし,表1に示す採点項目ごとに,最大減点の範囲内で減点して得点を決定する。採点項目ごとに細かく基準が定められており,例えば,回路の操作不良などの致命的な欠陥については5点程度の大きな減点となる。また,ケーブルが作業板に密着していないなどの軽微なものについては0.1点程度の減点となる。採点の結果,点数が極めて僅差の選手間の順位については,別途実施する仕上がり体裁の採点結果などを参考にして決定する。仕上がり体裁の採点には,競技委員,補佐員に加え,参加選手の所属企業から1名ずつが参加する。3.4 使用治工具の制限競技に使用することが認められている治工具についても規定されている。原則,市販されていて入手が容易なものでなければならず,その用途に適合した方法でしか使用してはならない。また,充電式ノ-35-コギリなど,市販されていても使用できない治工具もある。以前は,作業がしやすいように工具を改造したり,選手が製作した治工具を使用したりすることが認められていたが,現在は禁止されている。3.5 保護具の着用義務電工職種では,競技中の安全確保のため,保護具の着用を義務付けている。帽子および安全靴については競技中常に着用しなければならない。また,手袋についてはナイフおよび金切りのこを使用する作業時に,保護メガネについては電動工具を使用した穴あけ作業およびカルコを使用する作業時に,それぞれ着用することとしている。競技委員は,①競技課題の作成,②競技における支給材料の手配,③競技ブースなどの設営,④競技中の審査および⑤採点を行う。③~⑤については,競技委員だけでは人数が足りないため,補佐員も加わる。現在,電工職種の競技委員は,職業大の教員3名,職業大以外の独立行政法人高齢者・障害者・求職者雇用支援機構の指導員1名,都道府県の指導員2名,都道府県の能力開発課職員1名の計7名である。いずれの競技委員も,電工に関連した授業や実習を担当しているあるいは担当していた経験があり,技能五輪以外の各種競技大会の審査員や電気工事士の国家試験の判定員などを務めた実績もある。このような経験豊かな競技委員でなければ,技能五輪のような日本一を決める競技大会の審査はできない。選手は公表された課題をもとに,繰り返し練習する。技能五輪参加に向けて取り組む練習の総時間数は,一定の水準にある電工職種の技能者の場合でも,100時間近くに達する(1)。選手はコーチである先輩社員の指導を受けながら,各作業に対する部分練習や,本番を想定した通し練習などに取り組む。この4.競技委員の役割と構成5.大会に向けての選手の練習

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