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表2 競技で使用する主な工具,機器類図3 マルチファンクションボードための技能が求められる。以上に述べたように,大会に参加する選手にはハードウェアからソフトウェアまで,設計から製造,保守の橋渡しを担うための総合的な技能,能力が求められていることがわかる。「電子機器組立て」職種では,電子機器の組立て,プログラム設計,修理,改修,測定などの課題に対応するため,多くの種類の工具,機器が必要である。表2に競技で使用する主な工具,機器類を示す。これらの工具,機器類は,基本的に選手が持参する。表2のうち,競技用電子機器は競技に必要な機能を搭載することを目的に開発,製作されたものである。このうち,マルチファンクションボード(以後,「MFボード」という。)は,競技の核となる電子機器である。図3にMFボードの外観を示す。本ボー-30-ドは,⃝4系統の電源供給が可能⃝マイクロプロセッサ(PIC)搭載⃝ZigBeeによる無線通信機能搭載⃝USBによるパソコンとの通信が可能⃝オンボードでのプログラム書き込みが可能⃝SDメモリカードへのアクセスが可能⃝コネクタによる外部回路との接続が可能などの特徴を有する。MFボードをはじめとする競技で使用する電子機器類は,職種連絡会を通して大会に参加する選手に対して有償で頒布する。「電子機器組立て」職種では,大会参加希望者のうち,都道府県における地方予選を通過した者に対して,2015年第53回大会から二次選考会を実施し,大会参加選手50名を選考している。「電子機器組立て」職種の最近10年間の大会参加選手数の推移を図4に示す。大会参加者は企業所属選手,学校所属選手ともに年々増加しており,2014年第52回大会の参加選手数は64名とピークに達した。若年技能者の裾野が広がり,大会参加者が増加していることは歓迎すべきことである。しかし,競技大会という性格上,採点結果を決められた時間内にミスなく提出することが求められる。本職種の競技課題内容,採点項目などを考慮すると,選手数は最大でも50名が限度と考えられる。一方,地方予選では,技能検定2級の実技試験課題を用いて選手の選考が行われている。しかし,本職種では,組立て技能に優れているだけでは,大会で提示される課題に対応することはできない。組立て技能のほかに,回路設計,プログラム設計をはじめとする技能検定で実施されていない内容の技能をもち合わせている必要がある。したがって,二次選考会を実施することで,大会に参加する選手の技能レベルを一定以上に維持できる効果が期待される。二次選考会では,学科試験による選考を行っている。2017年第55回大会では,問題数は四肢択一式20題,記述式5題の合わせて25題である。問題は全国3.競技で使用する工具・機器4.二次選考会

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