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栃木職業能力開発促進センター 廣瀬 拓哉関東職業能力開発促進センター 山口  翔中部職業能力開発促進センター 岩切 良介香川職業能力開発促進センター 五十嵐 智彦熊本職業能力開発促進センター 岡部 絢哉長野職業能力開発促進センター 新垣 一真京都職業能力開発促進センター 藤野 慎平平成23年に策定された第9次職業能力開発基本計画には,職業訓練のインフラの構築が掲げられ,訓練指導員等の育成・質の確保を目指すこととなった。そのため,職業能力開発総合大学校を訓練指導員の育成の中枢拠点と位置づけ,訓練指導員候補として採用された工科系大学の卒業生等を対象に,最先端の技術・技能や指導技法,キャリア・コンサルティング等の就職支援技法,カリキュラムの作成等の訓練の企画・立案の技法等,高度な訓練指導員として必要な能力を付加するための指導員養成(ハイレベル)訓練を平成26年度から実施することとなった。本稿では,職業能力開発総合大学校において指導員養成訓練が行われている長期養成課程に所属する著者らが作成した教材開発の報告を行う。建築系指導員であった著者と電気系指導員であった著者が木造軸組模型の展示を見ている際に,ふと電気配線を施せないかという話題になった。建築教育において,模型による学習法は広く普及しているが,電気工事にまで範囲が及ぶ模型は例をみない。これは今まで,建築系指導員においては,-20-電気工事の専門的な知識を有していない。逆に電気系指導員においては,建築の専門的な知識を有していないことが要因として挙げられる。また,電気配線を模型にする際に既存の電気工事に使用されるケーブルの大きさでは,建築模型で使用される50分の1程度の縮尺に合わせることが困難という課題が存在した。そこで,建築系指導員と電気系指導員により模型の全体像を検討し,模型の縮尺に合わせた電気配線と電子部品を用いて照明器具や配線器具が作製できないかを思案した。長期養成課程では,「教材開発法」のような職業能力開発科目に関する授業では,様々な系の指導員が合同で授業を受けることもある。そのため,様々な系の指導員たちとネットワークを持つことができる。この利点を生かし,個々に専門性を保持する建築系,電気系,電子系の指導員に声をかけ,今回の模型製作を行うことを決めた。また,「教材開発法」の授業のなかで,学習理論や作業分析[1] [2]の視点からの教材開発手法を学ぶことができ,理論的背景に基づいた模型教材の作製を検討することとした。まず模型教材を作製する前に,教材の対象とし1.はじめに2.教材開発に取り組み始めた経緯3.既存の訓練の問題点と学習理論〜電気配線を施した木造家屋模型の作製を通じて〜指導員養成訓練における教材開発の取り組み

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