4/2017
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図1 アラン・ケイのDynabookクラウド部門賞を受賞するなど,多くの賞を受賞した。タブレットを使用したシステムは時代の波に乗り,2015年,全国の公立小学校の約8割,1万7000校で小学生向け学習支援ソフト「ジャストスマイル」が導入されている。2017年には小学生向け学習ソフトを発売している。2.1 PCでプログラミングコンピュータは,プログラムが必要であり,プログラムは,コンピュータに動作を指示する命令(instructions)のセットである。つまり,「入力されたデータを適切に処理して意図した出力を得る」ための手順を記述したもので,その手順を作成することをプログラミングと呼ぶ。プログラムの概念は,【入力】→【処理】→【出力】となり,データ(data)をキーボードやマウス,ファイルなどから入力(input)し,入力されたデータは処理(processing)が行われて,出力(output)される。このデータと処理の2つを確実に理解することがプログラミングに基本的な且つ重要な学習となり,明確に指示を与える必要がある。2.2 プログラム(手順)とはプログラムに明確な指示を与えるために必要なことは,指示する手順が「論理的」でなければならない。論理的でなければ,プログラムは動作しないか,エラーを起こし意図した結果が得られない。また,「批判的」に考えることも重要で,作成したプログラムは論理的に正しいのか,意図した出力が得られるのか,処理は適切に行われているか,エラーが発生するケースは有り得ないかなど,多角的に検証する問題発見能力が必要となる。これらは,コンピュータを使ったプログラミングにおいてだけではなく,何事においても必要なことである。つまり,自分が考えた事,理解した事を適切に説明できるようになる練習がプログラム学習の第一歩と言える。 ダイナブックを使い宇宙船のゲームで対戦するベスとジミー「あらゆる世代の子どもたちのためのパーソナルコンピュータ」より-16-2.3 教育用プログラミングさかのぼること,1967年,数学者で発達心理学者のシーモア・パパートは,コンピュータは情報処理だけでなく,子どもたちの教育に役立つと考え,教育用プログミング言語の,タートル(亀)を動かして絵を描く「LOGO」を開発した。 LOGOは,コンピュータの画面上に「亀」を置き,亀が,命令にしたがって,画面上で動かすことができる。また,この亀の動きに沿って図形を描くこともできる。これが「タートルグラフィクス」で,タートルグラフィクスを根幹に置いたプログラミング言語である。1980年代にパソコンが普及し,このころから学校で盛んに使われている言語である。また,1972年,米国のコンピュータ科学者であるアラン・ケイは,「A Personal Computer for Children of All Ages」(3)とし,ダイナブック構想を打ち立て,理想のコンピュータとは,「対話型インターフェース(GUI:GraphicalUserInterface)を搭載し,子供でも扱え,片手でも持ち運びが可能であり,低価格なパーソナルコンピュータ」と想定した。これは,ダイナミック(dynamic)なパーソナルメディアであり,本のようなものであるということから,ダイナブック(Dynabook)と名付けている(4)。また,アラン・ケイは,子どもたちのコンピュータリテラシーの向上支援のため,簡単にプログラムが書けるビジュアルプログラミング「Squeak 2.プログラミング

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