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<参考文献>定着支援,および就労後に求められる施術内容の把握に役立っている。今後は,就労している対象者が参加しやすい日程で施術技術の交換・向上を目的とした研修会の開催を検討している。4.4 就職活動支援応募書類作成のサポートについては,全員に対して行った。対象者は,視覚障害になる前の職歴について無関係と思い,応募書類への記載を行っていなかった。サポートの中で,前職などの経験から自己の強みとなることをピックアップし,さらに自分の施術に関する考え方や取り組みを自己PRに記載するようにアドバイスをおこなった。その結果,書類選考通過後の面接試験において,その冒頭に内定が出た事例が数例あった。これは,応募書類の記載内容が評価された結果と考える。面接の練習では,想定質問に対して当初は回答が簡潔ではなく,意図とは異なっていることが多かった。さらに面接官に対してうつむいた状態や顔が少し異なった方向を向いて回答していた対象者もいた。しかし,これらに対してフィードバックを行うとともに繰り返し練習することにより,面接試験本番では練習した質問が出るなど,落ち着いて答えることができ,顔の向きも意識することができたという声があった。面接試験への同行は,27名に対して行った。このうち先方の了解が得られた20名については同席した。同行・同席した対象者全員からは,初めての場所に一人で行く不安が軽減し,安心して面接試験に臨むことができたという回答が多くあった。同席した際には,安全な通勤のための歩行訓練,会社建物内の歩行訓練,支援機器導入のサポート,勤務開始後のフォローアップについて,新規マッサージ室開設時のサポートなど,センターの取り組みについて説明を行った。これらは採用側にとって通勤の安全性,支援機器導入,勤務開始後の対応,ヘルスキーパー室開設や運営などに関する不安の軽減に繋がると考えられ,採用選考では優位に働いたと考えられる。-5-(1)平成28年度障害者の職業紹介状況等:厚生労働省障害者雇用対策課,2017.6(2)視覚障害者の職業紹介状況(平成28年度)(特別集計)」:厚生労働省障害者雇用対策課,2017.6(3)第25回あはき師国家試験合格率:点字毎日活字版,2017年4月13日,2面(4)共生社会の足音第19回あはき法19条違憲訴訟がはじまった:大胡田誠,視覚障害―その研究と情報―No.341,2016.10,PP.29-32(5)法的な資格制度がない医業類似行為の手技による施術は慎重に:消費者庁NewsRelease,2017年5月センターでは,マッサージ業務での就労希望者に対して,【PC訓練】【臨床実習】【就職活動支援】の就労支援を実施してきた。その結果,マッサージ業務就労希望者31名に対して30名(97%)が就労したことから,就労支援の一定の評価が得られたものと考える。今後は,マッサージ業務での就労希望者に対してPC訓練と臨床実習についての検証を行い,より質の高いプログラムを目指していく予定である。また,視覚障害者の就労後のフォローとして,「あマ指師」として継続して就労するためには,臨床技術の振り返りや向上は必須であり,それを行うことができる場の設置は重要である。現行の就労移行支援は就労までのサポートが原則で,その後のフォローアップの費用は事業所の持ち出しとなっている。今後は,就労移行支援の枠組みの中で研修を含めたフォローアップを実施していくことが,マッサージ業務に就労を希望する視覚障害者へのニーズに適した本来の就労支援となると考える。5.まとめ

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