3/2017
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図3 参加選手数と景気DIの関係表2 入賞者数の多い上位10都道府県(13大会分)図4 派遣選手団の地域別特色数は参考データである。同図から参加選手数と景気DIの間には明らかに相関が見られる。全国大会開催年月における離散的な値を用いて評価すると,参加選手数と景気DIの相関係数は0.74となり,両者は強い相関を持つことがわかった。すなわち,上向き景気のときは技能者養成に投じる経費に余裕ができ,全国大会へ多数の選手を派遣でき,下向き景気では派遣が厳しくなると考えられる。さらに,リーマン・ショック後の参加選手数の増加傾向は,団塊世代の大量退職に伴う熟練者不足に対する危機感が背景になっていると受け止められる。2.4 派遣選手団と競技成績に関する動向第42回から第54回までの13大会分のデータによれば,延べ14,255人の青年技能者が全国の都道府県から選手団を組織して派遣された。この都道府県別の選手団を,総務省統計局の区分[2]に従って集計した結果が図4である。東海地区が約20%でトップにあるが,これに続く南関東地区と北関東・更新地区を加え合わせると約34%となる。このような東海地区と関東地区の2極集中型ともいえる参加選手数の分布状況は,日本の産業構造の偏りを如実に表している。次に,都道府県の選手団が獲得したメダル数を,第42回から第54回までの13回大会分の延べ実績で上位10都道府県について見てみると表2のようである。競技成績において,愛知県は金賞(1職種1名),銀賞,銅賞,敢闘賞,それら合計のすべてにおいてトップであり,これに茨城県が続く。この特徴は,愛知県ではT社グループが,茨城県ではH社グルー-34-プが中心となり活躍していることを物語っている。また,神奈川県と東京都は入賞者数の合計が僅差であることから良きライバル関係にあり,続いて山口県と埼玉県がともに切磋琢磨している。ところで,全国大会は1991(平成3)年の第29回大会から都道府県持ち回りによる実施形態となり,最初の開催県は愛知県であった。以降,毎年ではないものの,持ち回り方式による全国大会の実施が現在まで続いている。例えば,図5は第42回から第54回までの13大会分について,開催県を務めた茨城県(第47回),神奈川県(第48回),長野県(第50回),愛知県(第52回),山形県(第54回)の派遣選手数の変遷である。同図のように,各県ともに自県開催のほぼ3大会前から派遣選手数を徐々に増員していることがわかり,自県開催の年に参加選手数はピー

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