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図1 技術技能ラーニングセンターのあゆみ株式会社豊田自動織機 技術技能ラーニングセンター 副センター長 渡辺 秀博株式会社豊田自動織機では2020年ビジョンとして,「お客様のニーズを先取りする商品・サービスを継続的に提供することにより,世界の産業・社会基盤を支え,豊かな生活と温かい社会づくりに貢献する」というスローガンを掲げて社員一丸となってモノづくりに取り組んでいる。その取組みを支える核としてグローバルな事業展開を支える人材の育成を目指しており,具体的には次の3つを挙げて取り組んでいる。・多様な人材が価値観を共有し,能力を最大限に発揮できる職場風土をつくる・チームの中で一人ひとりが自らの役割を果たし,より高い目標に挑戦する・自ら学び,考え,行動し,世界に伍して戦える人材を育てるこれらの人材育成の一端を技術技能ラーニングセンターが担当している。創業直後から始めた技能者養成制度に始まり,戦後の青年学校技能者養成所,1959年(昭和34年)からは職業訓練所を経て,それぞれの時代に適応した育成を続けてきた。そして,1982年からは技能専修学園として引き継がれ,2007年からは技術者教育が加わり技術技能ラーニングセンターとして生まれ変わった。(図1)当センターの役割としては「新しい時代に対応で-28-きる技術・技能・知識と実践力を備えた人材育成」を目的として5つのカテゴリーで人材育成を図っている。先ず1つ目は技術系全新入社員を対象とした「基礎技術講座」である。これは約4ヶ月にわたり基礎的な学力と想像力を磨く学習や実際にモノに触れて課題を作り上げる「モノづくり講座」を中心に教育をする。2つ目は二年目以降の技術・事務系社員を対象とし最先端の技術まで紹介していく「ステップアップ講座」。3つ目は会社を根底から支えるモノづくりで将来の現場で核となる高卒新入社員を育てる「技能専修学園」。4つ目は全国レベルの技能に挑戦することで,高度な技能と精神力を習得し,継続的に技能の伝承をはかる「技能五輪」。そして5つ目は当社及びトヨタグループの原点である社祖豊田佐吉が発明した「G型自動織機」を使い,それに込められた思いとモノづくりの工夫を学ぶ『創業の精神講座』。この講座では技術者,技能者の隔たりなく「社会人の基礎」「豊田自動織機の基礎」「仕事の基礎」「仕事の仕方の基礎」の4つの基礎を学んでいく。以上の5つ全てのカテゴリーで,机上で学ぶだけ1.はじめに2.技術技能ラーニングセンターにおける人材育成連載企画:職業大と技能五輪 第1回(技能五輪への取り組み)豊田自動織機の人材育成

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