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図1 訓練・学習の進捗等に特別な配慮が必要な学生への支援・対応ガイド(実践編)職業能力開発総合大学校 深江 裕忠近年,障害者向けに特化していない,一般求職者向けの職業訓練コースを設置している職業能力開発施設(以降「一般校」とする)において,精神・発達障害の可能性がある特別な配慮が必要と思われる訓練生(以降「配慮訓練生」とする)への支援・対応が求められるケースが増加している。配慮訓練生の多くは精神・発達障害の診断がない,あるいは診断があっても情報をクローズにしているため,現場の職業訓練指導員(以降「指導員」とする)は難しい対応を迫られている。そこで高齢・障害・求職者雇用支援機構(以降「機構」とする)では,平成27年3月に,一般校で活用できる支援・対応方法をまとめた「訓練・学習の進捗等に特別な配慮が必要な学生への支援・対応ガイド(実践編)」[1](以降「支援・対応ガイド」とする)を開発し,公開している。さらに,職業能力開発総合大学校では,支援・対-12-応ガイドをベースとした実践的な演習を行う「一般校の指導員のための精神・発達障害に配慮した支援と対応」研修シリーズ(以降「研修シリーズ」とする)を開発した。研修シリーズは「理解と接し方編」「訓練の支援と支援体制編」「就職活動の支援編」の3つで構成されている。平成26年末に施行実施し,平成27年4月から全国の指導員を対象に実施している。平成29年3月末までの約2年間に,のべ1000人以上が受講し,満足度99.1%,活用度97.9%(回答者534名)となっている。本稿は,研修シリーズについて職業大フォーラム等で報告した内容[2]-[8]をまとめるとともに,最新の情報を報告する。最初に研修シリーズ開発時点での一般校の状況を述べる。次に一般校の状況にマッチングするために,どのような方向性とねらいで研修を開発したのかを述べる。最後に,eラーニングを取り入れた通信活用研修を新たに開発したので,これを紹介する。2.1 配慮訓練生の在籍状況機構が運営する一般校で,学卒者むけの高度職業訓練を対象にした,配慮訓練生の在籍状況調査結果が支援・対応ガイドに掲載されている。これによると,平成25年度と平成26年度の2年間で,約11,200人の訓練生中3.0%が配慮訓練生であった。これは,定員が20~30名であることから,平均して1クラスに1~2名程度の配慮訓練生が在籍していることを示している。また,在籍する地域に偏りはなく,全国的な状況であることも示している。1.はじめに2.一般校の状況特別な配慮が必要な訓練生への対応研修の開発精神・発達障害の可能性がある

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