2/2017
7/60

温・低温の物との接触」が同数の14%となっており,「動作の反動,無理な動作」が8%で例年の集計結果とほぼ同様の結果となっている。図4に「起因物」別の災害発生状況を示す。「手工具」が28%となっており,電工ナイフ,鑿(のみ)による切創が大半を占めている。次いで「金属材料」が14%で,加工中及び加工後に材料に誤って接触するといった災害が多い。これらの起因物による災害は毎年度発生しているものである。このように訓練災害の発生件数も事故の型や起因物も変化がなく下げ止まっている要因は,訓練対象者のほとんどが毎年初めて就業に必要な知識,技術・技能を習得する初学者であること。そして,この初学者は幼少の頃から事故,災害に遭遇するような行為を親や教師等に止められて育ってきたために何が危険なのかを知る危険感知能力や危険事象から回避する能力を習得していない世代であることが推測される。そして,危険を認識できない結果,不安全行動が多くなり「切れ,こすれ」等の災害が多く発生することになる。こうした原因を解消していくためには,時間を掛け経験を積みながら不安全行動を改善したり,危険を予知する能力を身に付けていくことが必要となるが,訓練災害は成長を待ってくれない。経験や知識が不足していても訓練災害をしっかり防ぐ方策が必要となる。それは組織や指導員の責任である。一方,職業訓練指導員側の指導も知識,技術・技能の習得が中心で,安全対策の基本を「安全教育」による訓練生のミス防止に置いていること。更に2007年から「団塊の世代」が定年退職を迎え,熟練-5-指導員の不足と急激な世代交代で「訓練設備に関する知識の不足」「技術・技能のレベル低下」「安全教育など種々のノウハウの継承が不十分」等の問題の発生が懸念されていること等が考えられる。ところで,各職業訓練施設では訓練災害の下げ止まり解消を目指し安全確保のための取り組みを行っている。図5は平成26年度技能・技術フォロー研修(経験5年)の雇用支援機構指導員38名に対して「安全衛生面に関する実践内容」について自由記述で調査した結果である。一般企業の製造部門で実施してい図2 訓練要素別の災害発生割合図3 H27年度「事故の型」別の災害発生状況図5 経験5年目指導員の安全衛生面に関する実践内容図4 H27年度「起因物」別の災害発生状況

元のページ  ../index.html#7

このブックを見る