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独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構(以下,「雇用支援機構」という。)における直近10年間の訓練災害の発生件数は,毎年100件前後で下げ止まっている。この状況に対して各訓練施設も実技訓練担当指導員も各種方法で災害ゼロの取り組みを行っている。平成26年度には機構版労働安全衛生マネジメントシステムも導入され,安全衛生方針を決め,リスクアセスメントを実施し,全組織的推進体制で訓練災害の低減に尽力している。しかし,災害発生件数も災害の事故の型も起因物もほとんど変化がない状態である。そこで,機械加工実習の基本とされる旋盤作業における過去の訓練災害事例の分析,職業訓練の主たる対象である初学者の特性に配慮した指導技法を再考するとともに,安全対策教材の在り方について研究したので報告する。表1,図1に雇用支援機構における過去10年間の年度別災害発生件数を示す(1)。平成27年度の訓練時間中の災害発生件数は108件(過去10年間の平均115.0件)で,平成21年度より減少傾向にあったが2年連-4-続で増加に転じた。施設内訓練(アビリティ,専門,応用課程等)の全体の度数率は5.34で,休業災害は9件(前年7件),不休災害は99件(前年97件)であった。因みに,度数率1.0は従業員500人規模の会社で年間1件程度の災害発生と言われている。図2に訓練要素別の災害発生割合を示す。居住系が40%,次いで機械系が33%と全災害件数の7割を占めている。また機械系においては,特に休業災害が7件発生しており,工作機械等を使用した訓練も実施していることから重大災害に繋がる恐れもあり,災害発生防止に一層取り組む必要がある。図3に訓練災害の「事故の型」別の発生割合を示す。依然として「切れ,こすれ」が全体の約半数を占めており,次いで「はさまれ,巻き込まれ」,「高表1 過去10年間の年度別災害発生件数の推移図1 年度別災害発生件数の推移職業能力開発総合大学校 鈴木 重信・中村 瑞穂・千葉 正伸中部職業能力開発促進センター 相馬 圭治九州職業能力開発大学校 斉藤 哲也1.はじめに2.訓練災害の現状と発生件数下げ止まりの原因〜危険事象回避方法を含む旋削技能指導技法〜初学者の旋盤作業実習における安全対策教材に関する研究

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