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を資料シリーズ(6)から抜粋すると以下のとおりである。○「職業能力の体系」の見直しを図ることにより,中小企業等における職業能力開発の推進及び公共職業能力開発施設における訓練内容を具現する。(3)体系の活用目的の検討体系は前述のように,必要な職業能力を段階的かつ体系的に整理したものである。これを具体的に表わしたのが体系データであるので,体系データの活用目的は体系の活用目的と考えることができる。そこで,職業能力開発施策の動向と体系データの整備の経緯を比較しながら,体系の活用目的を検討する。第一は,体系データの整備と職業能力開発施策との関わりについてである。体系データの整備が始まったのが1999年なので,職業能力開発施策における生涯職業能力開発体系では,企業主導から個人主導に移った時期である。では,機構における生涯職業能力開発体系の整備との関わりはどうであったのだろうか。そこで,機構における「生涯職業能力開発体系」の検証及び拡充計画(2002年)(7)から,その拡充内容を確認すると以下のとおりである。・職業能力開発基本計画に基づき,職業能力のミスマッチを解消して雇用の安定・拡大を図るために生涯職業能力開発体系の活用を位置づけている。・具体的には,キャリア形成促進のための支援システム,及び職業能力を適正に評価するための基準,仕組みの整備などである。・これを受ける形で業種別の職業能力評価制度の整備として体系データの整備・拡充があり,その活用は団体及び傘下企業としている。こうしたことから,体系データの整備に当たっては,職業能力開発施策の「個人主体のキャリア形成支援」を意識して,キャリア形成の促進や職業能力の適性評価が挙がっている。しかし,その対象は団体及び傘下企業の労働者(内部労働者)であり,企業・業界の横断的な観点から職務やスキルの共有化ということであった。そのために,企業に属していない外部労働者も含めた全国共通の指標を意識したものではなかったと考える。-48-第二は,体系データの作成,見直しに係る各資料に記載された活用目的についてである。各資料(部内資料,調査研究資料,資料シリーズ)の記載内容の要点をまとめると,それらは「事業主支援と公共職業能力開発の訓練内容の充実」となる。事業主支援は在職労働者(内部労働者)のOJTを推進することであり,公共職業能力開発は企業外のOff-JTによって企業内のOJTを補完することである。これらによって,在職労働者のキャリア形成を支援するに当たり,企業独自の仕事を分析して必要な職業能力を明確にする必要がある。この分析を一から行うのは大変なので,体系データを参考にして独自データへ作り変えていく。このように体系データの活用は,企業の独自データを作成するめのモデルであったといえる。そのために,体系データを「モデルデータ」と称したと思われる。以上,体系データの整備と職業能力開発施策との関わり,及び体系データの作成,見直しに係る各資料のまとめから,その活用目的を整理する。体系データの整備における活用目的は,職業能力開発施策の動向を反映した個人主体の支援よりは,以前の施策である企業主体の支援に重点があり,それを基に企業の独自データに作り変えるための「モデルデータ」となる。体系データの整備において,筆者らは体系データの見直し作業に関わった(2012年~2013年)。その時の考え方について以下にまとめる。体系の活用目的の検討から,体系データの位置付けは独自データに作り変えるためのモデルデータであることを確認した。体系データがモデルデータとして機能するには,正確性のみならずわかりやすさが必要である。ところが,既存データを見ると,支援の対象が中小企業であるにもかかわらずその実態に合っていなかったり,データの構成に不自然さが見受けられたりした。そこで,体系データの見直しに際しては,データ構造を図3のように整理して行うこととした。3.体系データ見直しの考え方

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