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*職業能力開発総合大学校基盤整備センター 平川 政利千葉職業能力開発促進センター高度訓練センター 工藤 晋司埼玉職業能力開発促進センター 藤浪 栄一 *2017年3月31日まで所属**現 新潟職業能力開発短期大学校技能と技術 2/2017職業能力の体系(以下「体系」という。)は1999年から整備が始まり,これまで(平成28年度末)に業種別で97業種,汎用データで1分野10部門に至っている。以下,これらのデータの総称を「体系データ」という。体系データは,産業構造の変化や技術革新に伴う雇用形態の多様化など,目まぐるしく変化する業務内容を系統的に整理したものであり,人材育成の基盤となっている。こうしたことから,高齢・障害・求職者雇用支援機構(以下「機構」という。)では,機構が行う職業訓練や事業主支援において体系データを積極的に活用するように努めている。しかしながら,機構の各施設では多様な業務に追われる中で,体系データの活用方法に苦慮していることが窺われる(後述の「4(2)ウ 活用体制の主要因」参照)。その要因として,体系データの作成に主力が置かれ,体系の目的と活用方法の検証が不十分であることが考えられる。そこで,本稿においては,体系の目的を職業能力開発施策との関わりで検証し,さらに体系データの見直し作業から今後の活用に向けた課題を整理することとする。体系(職業能力の体系)は図1に示すように,必-46-要な職業能力を明確にし,その能力を段階的かつ体系的に整理したものである。さらに,能力開発の目標を明確にし,その目標に応じた職業訓練を段階的かつ体系的に整理したものが「職業訓練の体系」である。これら両体系からなるものを「職業能力開発体系」と称している。その基本理念は職業能力開発促進法(第3条)に依っており,「職業能力開発の促進は,労働者の職業生活の全期間を通じて段階的にかつ体系的に行われること(生涯職業能力開発体系)」としている。なお,職業能力開発体系の各名称は,2014年から用いられているものであり,それ以前は図2のようになっていた。ただし,名称変更だけで各内容は変わっていない。名称変更の理由は,利用者及び関係者への浸透性を高める観点から,さらには,職業能力開発と生涯学習の混同を避ける観点からである(1)。図1 「職業能力開発体系」図2 名称の変更**1.はじめに2.職業能力開発施策と体系の目的〜体系データの見直し作業を通して〜「職業能力の体系」の活用に向けた課題

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