2/2017
32/60

が町の駄菓子屋にやってきて,ヨーヨーのパフォーマンスを行っていた。その当時,ヨーヨーを振り下ろした際に最下点で長時間空転(以下スリープという)させ,その間に“犬の散歩”,“ブランコ”,“東京タワー”などと呼ばれる“技”が繰り出されていた。さらにさらに時は進み,1997年に,株式会社バンダイが海外メーカのヨーヨーを集めて「ハイパーヨーヨー」ブランドで大きく事業展開した。ハイパーヨーヨー第一世代と呼ばれるようで,ヨーヨーが再び大流行した。それまでの“技”は“トリック”とお洒落な名前に変わり,スリーピングトリック(投げた後ヨーヨーが空転し,その間に振り子運動を応用させる技)や,ルーピングトリック(ヨーヨーをキャッチせずに周期的な運動をさせる技)など,かつての“技”に比して別次元の技術に進化した。トリックの一例(ダブルハンドストリングトリック)を図2に示す。この進化は,ヨーヨーの扱いやすい形状・重量・バランスが研究されたり,高品質なベアリングが回転軸に配されたりと,ヨーヨー自体の性能が大幅に向上したことに起因する。それに伴い,従来の性能では出来ない動きができるようになり,ヨーヨーを扱う技術も向上した。2.2 ヨーヨーの競技近年のヨーヨーはハイパーヨーヨーブームが去った後もヨーヨーを続けていたプレイヤー達によって発展を続けてきた。これにはインターネットの普及が大きく関係している。全国津々浦々に点在-30-するプレイヤーはインターネットを利用してヨーヨーの購入・共同練習・大会を行っていた。また動画投稿サイトの隆盛により,プレイヤーはインターネットを利用してヨーヨーの情報収集を行ったり,情報を発信したり行われているようである[2][3]。現在でも国内外でヨーヨーの技術を競い合う競技大会が開催されている。世界大会ヨーヨーの競技には6つの種目がある。1A,2A,3A,4A,5A,APと呼ばれる。表1に各種目の特徴を示す。表1から,競技では音楽を再生し,それに合わせて演技を行うのが一般的である。特に音楽とヨーヨーの技が高いレベルで調和されている演技は観客を圧巻する。競技の勝敗はジャッジの採点(技術点+芸術点)で決まる。技術点は,加点・減点方式,芸術点は加点方式である。芸術点は以下に列記する10個の項目をそれぞれ0~3点の4段階で採点する。・テーマ・ルーティン(構成)・アウトフィット(衣装)・ボディコントロール(体の動き)・ オーディエンスインタラクション(観客とのやり取り)・コーリアグラフィ(音楽に対する振付)・ステージの使用と動き・クリーンネス・バリエーション・リスクテーマ,ルーティン,コーリアグラフィの要素は,BGMに用いる音楽と関連が深い。逆にその他の要素はヨーヨーをいかに操るか,どのようなパフォーマンスを行うかに重きがおかれ,ヨーヨーを上手く取り扱えることが前提の評価要素である。つまり,熟練者が高評価を狙うためには,難度の高いトリックに挑戦すること,新規性の高いトリックを成功させること,そして“音楽と調和したストーリー性の高いパフォーマンスを行うこと”の三要素を満足する必要がある。先の二要素はヨーヨーを練習すれば達成できる。当然三要素目もヨーヨーの練習という手段で達成できるが,音楽との調和に着目すれば,機械的・電気的に達成する手段があっても良いはず図2:トリックの一例:ダブルハンドストリングトリック

元のページ  ../index.html#32

このブックを見る