2/2017
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-設計者による方策(本質的安全設計方策,安全防護及び付加保護方策,使用上の情報)(3ステップメソッド)[2]-使用者による方策[組織(安全作業手順,監督,作業許可システム),追加安全防護物の準備及び使用,保護具の使用,訓練][2]第一ステップである本質的安全設計方策とは,ガード又は保護装置を使用しないで,機械の設計又は運転特性を変更することによって,危険源を除去する又は危険源に関連するリスクを低減する保護方策である。これを最優先に行う。保護装置は確率が低いとしても故障することもあるし,無効化もできるが,本質的安全設計方策で対策できれば,そのようなことが起きなくなる。次に第二ステップである安全防護,つまり本質的安全設計方策によって合理的に除去できない危険源,又は十分に低減できないリスクから人を保護するための安全防護物(ガード又は保護装置)の使用による保護方策を行う。ここで注意すべき事は,作業者の身体が機械の危険な可動部から,固定ガードによって空間的に,インター注 文献[1]を基に作成した。-19-ロックによって時間的に分離されていても,その中では危険源は存在していることである。以上のことでも残存するリスクは,第三ステップである使用上の情報として使用者に伝え,上記の使用者による方策が正しく行えるようにする。この目的から,危険な場所は危険と伝えることがキーである。以上の設計側の対策の検討においては,第一ステップ,第二ステップ,第三ステップと優先順位があることを意識することである。本専攻は授業にあたり,(1)リスクアセスメントとその結果に基づく安全対策の実施に加え,(2)設計や会社組織等のマネジメントや技術者倫理を入れた体系を準備した(図3)。本専攻は,機械安全を中心としているが,これは,製造業における休業4日以上の死傷災害の約1/4は機械が関係しており,そのための人材の育成が急がれるためである。そのほかに国際安全規格の体系の整備が最も進んでいて,機械安全の体系を理解することで多くの分野での安全対策に応用できるからである。実際,本専攻の学生の半数以上が機械安全以外の安全の担当者である。図の上段に示した導入にあたる「システム安全概論」では安全構築の基礎などを教示している。基礎図2 設計・使用段階でのリスク低減図3 長岡技大システム安全選考の授業体系4.本専攻の授業の概要

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