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ある。動画では「ナットを緩めようと力をかけたが,思いのほか小さな力で緩んでしまい,勢い余って腕を被削材に衝突させて切創する」という危険行動を再現している。危険行動の再現の部分が終了すると,最後に対策案を提示する部分(図8)に移る。本研究での安全対策教材では,教材内で掲載している全ての危険源に対して,対策案についても動画を用いて提示している。これにより,リスクを軽減させるための行動をより認識しやすく提示することが可能となる。本教材の全体を通して,危険源を強調させる○印は黄色,危険源に関する説明文は赤文字,対策案に関する文字は青色で統一し,その意味や見やすさに配慮している。教材では,危険源を選択すると,危険源による災害の動画及び回避行動の画像が再生され,終了すると図9に示す印刷用画面が表示され,印刷すれば動画で閲覧した内容のタイミング,危険源,実際の災害例,対策案が一画面で確認できる。-8-(1) 独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構平成27年度訓練災害事例集,公共訓練部28高障求公発第226号,2016.11.17(2) 「ヒューマンファクター講座,Chapter12」, http://www5f.biglobe.ne.jp/~kotohaji/HF/HF2nd/Chapter_ 2nd_12_1.html?vm=(3) 相馬圭治:「機械加工実習における安全対策教材の開発」,職業能力開発総合大学校機械システム工学科,平成24年卒業研究論文,2012大学生時代に教わった指導技法という科目では,実技は「説明しながらやって見せ,やらせてみて誤りを指摘して,反復練習させる」という手順でやりなさいというものでした。そして急所のポイントは「成否,安全,やり易く」ですよ。といって何度も唱和させられました。この急所のポイントは,まずはできるように,そして安全にできるように,更にやりやすい方法かどうか,ということである。指導員晩年になり,汎用工作機械による実習はいつも危険事象の中で行うから安全の重要性を再認識するようになり,技能実習の急所のポイントに「安全」が含まれていなければならないことを最初に教わっていたのに改めて気づき反省しきりである。今回,下げ止まっている訓練災害発生件数を減少させることを目的に,職業訓練施設で技術・技能の実技訓練を受講する初学者である訓練生が,被災することなく危険が伴う作業を習得するための指導方法として,過去10年間の訓練災害事例を分析し,危険事象回避を考慮した作業手順を導出し,動画による安全対策教材を作成した。まだ,教材の実技訓練での評価はできていないが,数人の指導員の方には活用して頂いている。今後は,いろいろな職種における危険事象回避を考慮した安全な作業方法を提案し,職業訓練指導員向けの共有データ作成にも取り組んでみたいと考えている。なお,参考文献の後に参考として,印刷用画面の事例を示したので見て欲しい。図8 対策案の提示図9 印刷用画面〈参考文献〉5.終わりに

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