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図2 チラクール200 各部の名称図3 メガープラグ(新)デアを思いついた教材である。当センターには漏電故障を起こしている三相誘導電動機があり,これにアース線を繋いで運転すると,当然のことながら漏電ブレーカがトリップする。しばらくは,この電動機を使って漏電・地絡のメカニズムを訓練で紹介していたが,安全面や訓練での汎用性を考えて教材化しようと思い立った。実習を行う際には,チラクール本体のケーブルを負荷側の電路に接続する。また,モード切り替えスイッチで2つの機能を使い分ける。1つ目はダイレクトモードで,スイッチをDirect側に切り替えると内部抵抗が最小値の状態で地絡電流が流れる設計としている。漏電ブレーカがトリップする漏電状態を再現し,地絡経路の確認実習を行うことができる。実習方法については3.1で例を紹介する。2つ目はメータモードで,本体のボリュームつまみを調整し,内部抵抗値を徐々に下げていくと漏電ブレーカがトリップする電流値をメータで確認することができる。いずれの場合も地絡電流は内部回路により漏電ブレーカの定格感度電流以下に抑えられるため,安全に確認することができる。また,検電ランプにより被測定回路の充電状況が確認でき,安全性を高めている。製作するにあたりこだわった点は,ハンディサイズで取り扱いやすくすることと,見た目を製品のような仕上がりにすることである。なお,感度電流切り替えスイッチにより,漏電ブ-4-レーカの定格感度電流30/15mAに対応している。また,100V回路用のチラクール100も準備している。2.2 メガープラグ2つ目は絶縁抵抗測定用絶縁不良設定教材で,メガープラグと呼んでいる。メガープラグは漏電の原因である絶縁不良を任意のコンセント回路に再現し,その不良個所を絶縁抵抗計(メガー)で探し出すという訓練に活用できる。これまでの絶縁抵抗測定は訓練専用に模擬回路を作って使用するか(この場合は不良個所が固定になるし,実際の設備でないため実感が沸きにくい),または実際の健全な設備で測定するか(この場合は不良がないので,面白味がない)のいずれかの場合が多く,現実味に欠ける訓練を行っている状況であった。メガープラグを使えば,受講生は不良箇所を特定できない状況での絶縁抵抗測定となり,実践的な絶縁抵抗測定の手法を興味深く身に付けることができる。また,メガーによる測定の仕組みやテスターの抵抗測定との違いなどの説明もしやすい教材になっている。内部回路や製作方法など,詳しくは本誌2015年4号を参照されたい。今回,教材コンクールに応募したメガープラグは,ボディに医用プラグ(クリア)を採用し,従来のものより利便性が向上している。これら2つのツールを使い訓練を実施することで,目に見えにくい電気の事故(地絡事故)の仕組みを理解すると共に,事故発生時の対処法も実践的に身に付けることができる。

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