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図1 学校の位置熊本県立技術短期大学校 河邉 真二郎2016年4月14日21時26分,熊本県で震度7(M6.5)の巨大地震が発生した。しかしながら,これは前震にすぎず,4月16日1時25分には本震となる震度7(M7.3)の地震が再び発生した。これまで日本で発生した震度7以上の地震は,1995年の阪神・淡路大震災(1),2004年の新潟県中越地震(2),2011年の東日本大震災(3)など数少ない。しかも熊本県といえば自然豊かで地震もなく,比較的住みやすい地域とされ,数多くの企業が進出しているところでもあった。3日間という短期間にしかも震度7の地震を2回も体験することとなったのであるが,1回目の地震により被害を受け,予想もしなかった2回目の地震により被害は甚大なものとなった。本校では,火災,地震等に備えて災害用緊急時対応マニュアルを策定して危機管理を行ってはいたが,想定外の事態が多く発生し,マニュアル通りに進めない事が多々あった。現在(2016年12月)は学校全体の復旧作業を進めつつ,外壁の清掃と補修工事に取り掛かりつつある。ここでは,熊本地震の概要,本校の被害状況とそれら被害への対応,実際にはどのような対応が必要であったかなどを紹介する。熊本地震の概要を簡単に述べる。まず,16日の本震は震源地が北緯32度45.2分,東-35-経130度45.7分,震源の深さが約12km,地震の規模マグニチュード7.3,最大震度7は南阿蘇村や熊本市などであった。次に被害状況等について述べる。人的被害は,熊本県内で死亡161人,重症1,068人,軽傷1,552人。建物被害は,熊本県内で全壊8,360棟,半壊32,261棟,一部損壊138,224棟,公共建物325棟,その他4,262棟,火災15棟。県内全避難所は11月18日に閉鎖しているが,避難所への避難者最大数は183,882名(4月17日,885箇所開設)であった。また,熊本県民の誇り,熊本城は,14日の前震では瓦が落ちた程度だったが,16日の本震により東側の東十八間櫓と北十八間櫓が土台の石垣ごと崩れ落ちた。有名な阿蘇神社も16日の本震で2階建ての楼門(国指定重要文化財)が倒壊,拝殿も全壊した。高速道路は陥没,のり面が崩落し,甲佐町の跨道(こどう)橋が道路上に崩れ落ちた。一般道も各地で寸断,阿蘇大橋は崩落した。本校が位置する菊陽町は,このたびの熊本地震で大規模な被害を受けた益城町(震源地),南阿蘇村(阿蘇大橋の崩落),熊本市(熊本城の深刻な被害)1.はじめに2.熊本地震の概要(4)〜熊本県立技術短期大学校の場合〜熊本地震からの復旧

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