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-24-業量に応じ競技時間が設定されている。競技時間内に終了しない場合は未完了で失格とした。本大会は,32年ぶりの開催であり,参加選手が競技時間内にどの程度仕上がるのか予測できなかったため,競技時間のほか延長時間を設けることとなった。よって,作業完了時間による基準を設けた。⑤ 経済性 設計上積算された材料で施工することは重要である。器具の破損や配線材料の加工ミスは器具交換や材料追加によって対応できるが,納期遅延やコスト増に直結する。このため,経済性が損なわれる行為について一定の基準を設けた。このほか,安全上問題にならないが,施工品質向上の観点から,全体的なバランスや外観など判断基準を設けた。以上を踏まえ,審査基準並びに審査表を作成した。構成は,審査区分を競技中と競技後とし,それぞれについて審査項目および判断基準を定めた。点数は減点法としたが,重大な欠陥は失格とし,減点数は複雑にしないように設定した。競技後の審査をスムーズに実施するため,審査対象の技能・技術要素をグループ化し,8項目の審査項目とした。なお,本大会において詳細な審査基準および点数は非公開である。そこで,本稿では競技審査を行う上で基準となる項目とその判断基準の一例を表1に示す。審査の迅速化並びに審査に不慣れな審査員のために,審査手順を記した審査手引きを作成した。この手引きは,大会開始から審査の流れを記すとともに,審査員としてどのタイミングで何をしなければならないか記したものである。手引きの記載事項の概要を,以下の①~③に示す。① 競技前日から当日にかけての審査・確認事項 作業板のチェック,各種持ち込み工具,材料のチェックなどを中心に実施する。② 競技開始から競技終了までの審査・確認事項 競技中の審査にかかる注意事項を記載した。2.4 競技課題および競技方法競技課題は,平成28年11月25日(金)に開催される第2回電気工事技能競技全国大会の課題を基本としている。競技方法は,技能競技のみ(※全国大会は学科競技もあり)とし,競技ブース(3600mm×3600mm)内に設置された競技パネル(1820mm×1820mm)上に屋内配線を想定した競技課題を完成させる。競技課題は,主に金属管工事,合成樹脂管工事,ケーブル工事及び弱電(TV,TEL,LAN)工事を,作業指示書通りに競技時間180分で実施する。なお,北海道大会では,延長時間を含め195分(競技時間+15分)とした。図1に競技課題図(抜粋)を示す。32年ぶりの技能競技大会開催のため,競技審査に関する資料やノウハウを有している関係者が少ない。このため,各ブロックで実施されている電気工事技能競技大会の資料や国家資格である電気工事士技能試験の判断基準を参考に,筆者が技能競技大会の審査員として経験した知見を加味し,課題に応じた審査基準を作成した。審査基準の作成にあたり,次の①~⑤を基本とした。① 安全性 安全は何よりも優先されなければならない。作業時の服装,態度をはじめ各種作業について安全を遵守することは重要である。特に危険な行為については重大な瑕疵として取り扱った。② 法令・規程の遵守 法令・規程の遵守は当然である。特に安全上重大な法令違反については,重大な瑕疵として取り扱った。③ 信頼性 各種仕様,施工条件,図面通りに施工することは,最低限必要である。このため,これらに準じない場合は,重大な瑕疵として取り扱った。④ 納期 納期を厳守することは,顧客の信頼およびコストの面において重要である。競技課題は,作3.審査基準4.審査手順

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