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北海道職業能力開発大学校 磯 史樹北海道の電気工事業の魅力向上の取り組みの一環として,平成28年9月10日(土)に第1回電気工事技能競技北海道大会が開催された。電気工事技能競技大会は,全日本電気工事業工業組合連合会が,企画・主催し,第1回目の全国大会を平成26年11月29日(土)に開催している(1)(2)。当大会は,業界の課題解決のための手段として「今後の電気工事業界のあるべき姿を考える場の提供を通して,関係者間のより一層の一体化がなされる機会」と位置付けるとともに,副次的に「若者に魅力ある電気工事業の理解促進」(1)を基本理念としている。また,当大会は電気工事業工業組合傘下の電気工事業を営む中小企業の従業員による大会である。電気工事に関する技能競技大会には,「技能五輪全国大会」や「若年者ものづくり競技大会」などがある。これらの大会は,若年層に対する我が国の技能振興政策の一つとして位置づけられている。一方当大会は,年齢を問わず電気工事現場の第一線で働く技能者を対象としている。現場で培った技能を間近に見ることができる機会が得られることは,業界の魅力を伝える手段として非常に有効であると考える。また,大会に参加する選手についても,新たな目標を持つことができ,全国大会出場や他者との競い合いによりモチベーションの向上が図られるとともに,現場の施工品質の向上に貢献するものと思慮-22-される。多くの職業能力開発施設では,電気工事業に就職するための訓練コースが設置されている。訓練により,多くの人材を業界に輩出してきた実績がある。しかし,応募者数をはじめ,入所者,入校者数は,必ずしも多いものとは言えない。業界や仕事の魅力をアピールすることは,入所,入校促進につながり,継続して業界への人材供給を果たし,業界が抱える諸課題解決の一つとなる。業界の魅力向上に対し職業能力開発施設をはじめ関係各機関が一体的に取り組むことで一層の成果が上がるものと考える。本稿は,北海道電気工事業工業組合で企画・主催した,第1回電気工事技能競技北海道大会の競技審査基準の策定および審査手順を記した審査手引きの作成について述べるとともに大会開催状況を報告する。2.1 開催背景電気工事技能競技全国大会に出場するためには,各ブロック連合会(電力会社営業地域単位で各電気工事(業)工業組合を会員としたブロック連合会を組織)ごとに,予選大会を開催し代表者を決定することとしている。北海道では,北海道電気工事業工業組合が実施を担っている。第1回全国大会には,予選大会の準備が整わず推薦により選手を派遣している。北海道の電気工事技1.はじめに2.第1回電気工事技能競技北海道大会概要〜第1回電気工事技能競技北海道大会の開催および競技審査基準の策定と審査手引きの作成〜北海道における電気工事業の魅力向上への取り組み

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