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<参考文献>年のデータで予測システムを作り,もう片方の学年の学生の卒業時の総合評を予測した結果,データ数が少ない割には,概ね推定できた。さらに,在校生の入学後1年経過時の総合評価と卒業時の総合評価を追跡調査し予測精度の評価を行った。予測値と実際の総合評価のゼロ点回帰式の寄与率が,3年時点ではR2=0.55程度であったものが卒業時にはR2=0.78程度に向上し,一定の予測精度があることが確認できた。平成27年12月には品質工学会の齋藤会長に来校いただき,100名近い企業からの参加者が集まる中で「富士ゼロックス㈱における品質工学の取り組み 日本企業の経営課題と品質工学-経営者が抱える課題とマクロ品質工学-」と題して講演をしていただいた。大変示唆に富んだ講演で,受講者からも実例が多く大変わかりやすかったと好評であった。また,これに併せて「能力開発事例発表会」を行い,四国能開大での様々な能力開発事例を5事例発表することができ,四国能開大の広報にも役立てることができた。また,この事例の一つとして品質工学の教育と普及に関する取り組み[5]についても発表した。四国能開大における平成24年度からの4年あまりの品質工学の教育と普及に関する取り組みの概要をまとめた。平成28年8月より,2ヶ月に1回発行される品質工学会の学会誌に2ヶ月ごとの四国能開大における取り組みを掲載していただいている。また,同時期より品質工学会のホームページに香川品質工学研究会の基本情報と活動紹介を掲載していただいている。四国能開大の広報に役立てばと願っている。四国能開大での活動もまだ緒についたばかりで,まだまだ満足ができるものではないが,香川県や企業との信頼関係の強化に役立っていると考えている。また,平成29年度には,品質工学に取り組む企業を増やすために,マネジメント層などを対象とし-21-[1] 渡部義晴,近藤剛,白木達夫:「品質工学用教材 コロボ君」第17回品質工学研究発表大会論文集,Vol17, pp.18-21 (2009).[2] 岩永禎之,新井吾朗:「ヒューマンスキル・コンセプチュアルスキルの習得状況による卒業後離職者の将来予測」職業能力開発研究誌,30巻,1号, pp.163-169 (2014).[3] 職業能力開発総合大学校 能力開発研究センター: 「調査研究資料No.120 応用課程モデル教材の開発と訓練効果の研究-標準課題実習におけるヒューマンスキル・コンセプチュアルスキル等の調査・分析-」,pp.33-88 (2007)[4] 岩永禎之:「品質工学を用いた入学時点での卒業時総合評価の予測」職業大フォーラム2015第23回職業能力開発研究発表講演会 講演論文集, pp.100-101 (2015).[5] 岩永禎之:「品質工学(タグチメソッド)の教育と普及に関する取り組み」平成27年能力開発事例発表会 能力開発事例, pp.3-4 (2015).た半日程度の導入セミナーを香川県の主催で実施できるよう香川県やT社と調整中である。この中にT社の成功事例を報告してもらうなどして有効性を伝えていければと考えている。今後とも受講者ニーズや最新の技術内容に適切に応えられるよう,自己の専門性を高めることで柔軟に対応できるようにしていきたい。現在,四国能開大では品質工学を指導する教員には限りがあるため,指導できる教員の育成に取り組んでいる。今後とも継続して取り組んでいける体制を作っていきたい。最後に,「初学者へのおすすめの一冊」として,矢野耕矢著「はじめての品質工学-初歩的な疑問を解決しよう」日本規格協会(2006)をあげて結びとしたい。あえて理論的な解説を省略して,品質工学とはどういうものかわかりやすく書かれた好著である。詳しい解析方法などは,品質工学会のホームページに掲載されている参考書籍などにあたられることをお勧めする。7.能力開発事例発表会8.おわりに

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