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図6 設計演習の課題ただいており,セミナーの満足度も非常に高い。また,一部コースは香川県システム技術研究会様の後援を受けて実施しており,会員企業の受講者には受講料の補助をしていただいている。これからも,企業からの要望に応じてセミナー展開を充実させていきたい。香川県内企業I社(プラントエンジニアリング業)のパラメータ設計を適用したある種のセンサー開発の共同研究に取り組んでいる。I社で試験機を製作して実験・設計を行い,四国能開大がパラメータ設計の解析方法や結果に対して助言をすることで共同研究を進めている。 四国能開大では,生産機械システム技術科2年生に品質工学を学ばせている。初めて品質工学を学ぶ場合,企業の技術者でも難解と感じることが少なくない。そこで,最初に設計演習で設計の仕方により機能のばらつきが変わることを教え,その後に品質工学を教えている。ここでは図6に示す設計演習を行う。特に設計の方法については指示をせず,自由に設計させる。当然,学生によって力と仰角の組み合わせが異なる。そこで,力と仰角にばらつきがあった場合にどれだけ飛距離がばらつくか,設計パラメータの決め方で機能のバラツキが異なることを理解させる。そして,品質工学のパラメータ設計で最適解を求めた事例を説明し,学生の設計結果より飛距離のバラツキが少ないこと,経験や勘によらず最適解を求めることができることを理解させる。その上で,短期間でわかりやすい効果的な教育方法として,能力開発セミナーと同じ実習教材を使った実習を実施している。また,静特性での実習を行った後に,動特性の実習を行う反復学習により,少しでも理解が進むことを期待している。また,技術の新しい考え方を学び,開発の仕方,実験の方法を習得することは意義のあることであ-20-る。さらに,品質工学を少しでも理解してくれれば,本人だけでなく彼らが就職していく企業においても大いに役に立つと考える。個々の学生に対する効果的な指導に活かすこと等を目的として,MTシステムを用いた学生の将来予測システムについて研究活動を行っている。新規学卒者の高い早期離職率が問題であるが,従来の離職予測モデルでは在学中に適用できない。このため,将来の離職者を在学中に予測する手法を開発することを目的とした研究に取り組んでいる[2]。調査研究資料No.120[3]で実施したヒューマンスキル・コンセプチュアルスキルの能力別質問シートの試行検証結果に加え,卒業後の就業状況,指導員による総合評価と全科目の成績などを追跡調査した。これをもとに品質工学が提唱するパターン認識のためのMTシステム(MT法)を用い,離職者の予測を行った。就職担当を含む複数の指導員による検証により,本手法の予測結果は概ね相対的な順位の妥当性が高いという結果を得た。在学中の離職者予測 の可能性を示し,より効果的な指導に役立つと考えている。また,MTシステム(T法)を用いて,入学時点のデータにより卒業時の指導員による総合評価の予測を試み,どの程度の精度で予測可能かを明らかにすることを目的とした研究に取り組んでいる[4]。2学年分の入学試験とSPIの成績を調査し,一つの学4.共同研究5.学生教育6.研究活動

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