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図1 品質工学の能力開発セミナー図2 実習教材の概要図3 実験の様子的な品質工学セミナーを多数受講し,学習した内容を実務展開へと試みたが,実務への応用が進まないので,県内企業に対してより実践的に教育して欲しい。また,実際に実務に活用する際に様々な困難が予想されるので,そのフォローも実施して欲しい。」との依頼を受けた。さらに,平成26年9月に,「MTシステムのセミナーを実施して欲しい。将来的には実務テーマ指導の中でも指導して欲しい」との依頼を受けた。このため,品質工学の能力開発セミナー展開を検討し,図1に示す4コースを開発した。開発にあたり,品質工学の能力開発セミナー展開をどのようにしたら効果的かを検討した上でセミナーを実施した。この際,次に述べる新しい概念を学習する過程を考え,それがうまく回ることが理想であると考えた。その過程は,(1)最初に必要性を感じるときに品質工学と出会い,(2)何らかの手段で品質工学を学習し,(3)実務で活用し成功体験を得る,(4)この成功体験がさらに学習意欲を刺激しさらに高いステップへの挑戦につながる,である[1]。そこで,「(2)何らかの手段で品質工学を学習する」のステップでは,パラメータ設計コース①<基礎~実践セミナー>を実施することとした。これは理論の学習と演習によりパラメータ設計を習得するコ-スである。しかし,香川県産業技術センターの依頼にもあるように講習で知識を身に付けただけでは新しい概念を実際に実務で活用するのは難しい。これは知識を身につける講習と実務で活用すること-18-にギャップがあるからである。このギャップを埋めるために,実際にパラメータ設計の実習を行うことで,実習を通して理論を理解するとともに成功体験を身につけ,学ぶ喜びを味わうセミナーが必要である。現在,図2に概要を示した実習教材を富士ゼロックス総合教育研究所より借用して実施している。実習教材は,スプリングの力でボールを飛ばすシステムである。ボールは使用する人が選ぶもので設計者は決めることができないという前提で,ボールの重さが違ったとしてもボールを狙い通りの距離に飛ばすことを目的に,8種類の設計パラメータの最適条件をパラメータ設計により求めることができるようになっている。この実習教材を使用してパラメータ設計コース②<体験実習セミナー>として実施している。2種類の質量の違うボールをばらつきなく,指示された目標に飛ばすために,設計パラメータをどう決めて行くか,3人を1チームとして実習した。

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