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図17 実験5における信号の流れ図18 実験5における出力信号波形-16-実験可能である。その結果,計測機器を並んで使用する必要がなくなり,円滑に実習を実施することができる。4.3 実習の低コスト化実験回路は部品点数が少なく特殊な部品を使用していない事と,回路基板は小型の片面基板であるため1枚のワーク基板からの取り数を多く設定できる事から,部材費を安価に抑えることが可能である。4.4 他の指導項目への展開実際の設計において,信号品質の検討は伝送線路シミュレータと呼ばれるソフトウェアを使用し,本教材を使用する実習の中でも,伝送線路シミュレータの使い方や演習に多くの時間を割いている。本教材はこの伝送線路シミュレータの題材とすることも想定しているため,「教材の実験回路基板を題材としたシミュレータの習得」,「シミュレータを活用した設計」などの展開が可能である。また,信号品質を低下させる原理はTDR(Time Domain Reflectometry)であるため,「TDRによる特性インピーダンス測定」を教材に含めることも可能である。信号品質に関する学生の理解と技術習得の助けとするために本教材を開発した。本教材により,学校の実習環境では実験の難しかった現象を“見える化”することができた。また本教材は,職業能力開発大学校の生産電子情報システム技術科で実施される「EMC応用実習」の一部として使用することを想定しているが,どのようなカリキュラムにおいても信号品質を教える科目であれば適用は可能であると思われる。第4章で述べたように本教材の実験回路はまだ多くの展開の余地があることから,教材の拡充が今後の課題である。引き続き,高度な技術でも解りやすく習得できるように工夫と努力を重ねたい。4.1 経験に基づいた理解これまでの実習では,・信号品質が低下すると回路は正常に動作しない・信号品質を考慮して適切に設計を行えば回路は正常に動作するなどの事象を知識として説明するに留まっていたが,これを本教材では,実験的に確認することができる。その結果,信号品質が低下する原因と設計時に信号品質を考慮する必用性,信号品質に関する対策技術とその有効性などについて,経験に基づいて理解することが可能である。4.2 実習の円滑な実施高性能な計測機器を必要とした場合,機器の整備台数が少ないことから使用する順番を待つ時間が発生し,実習を円滑に実施することが困難であるが,本教材の実験回路は比較的低い帯域で現象を確認できるため,整備台数の多い普及モデルの計測機器で4.教材活用の効果5.おわりに

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