4/2016
41/52

写真1:鋸屋根建屋(撮影角本)目を追加することなどは一部可能であるが,全体のデータが不揃いにならない様に配慮する必要がある。図面・写真・データ分析や考察・結果のまとめ等がある。要は,充分なる準備が必要であり,段取り七分であり,思い付きでの変更は避けて頂きたい。11.関係先との連絡を取る。この時点で必要な連絡は,中間時点での確認となる。全体の流れの中で順調に推移している事の確認にもなり,心掛けたい姿勢の一つであると考えている。12.発表会への参加。学会・大学校紀要・図書館への納本・シンポジウム等の機会がある。これは専門課程では,総合制作実習の発表会となる。もし間に合えば,12月時点での中間発表なども加えると,より具体的な取り組み内容とする手立てとなる。指導員の方の立場としては,学会等への原稿提出並びに発表となる。何事によらず,第三者の方々の前で発表する事は,色々な角度からの意見を聞く機会ともなり,有効であると考える。そして,何年に一度位の間隔で,国際会議などへの原稿提出並びに発表の機会を得る事も,色々な知見を得るためにも,他の意見や考え方を知る上でも有効な機会であると考える。13.必要に応じて,伝達研修を行う有効性について。これは年間予算が,段々と減額されて行く時に,実習生にとって有効な総合制作実習の機会を提供するためには,一つの課題について複数年に亘って取り組む事も有効な方法となる場合がある。これは単年度で終わる取り組みでは無くて,何年間も掛けて取り組み,その成果を次の実習生に受け取ってもらう考え方である。次年度へのつなぎ,卒研実習のreadiness向上等が考えられる。卒業の前年の12月位に卒研生候補が決まって居れば,卒研生から卒研生候補者への伝達研修も可能となる場合がある。筆者も,複数年に亘って取り組んだ課題としては,自然エネルギー利用のソーラーモデル棟,歴史的建造物の調査などが有る。研究室の課題設定の方法としては,一つの課題を皆で取り組む方法もあるが,二つ位の課題を設定して,勿論それぞれが自分の課題に対して責任を持って取り組むのであるが,他の課題に対しても,余力-39-があれば調査協力に参加する機会を提供する。これは,いまだ経験の少ない実習生にとっては,新しい一つの体験の機会となり,皆興味を持って取り組んでくれた様に受け止めている。次に,幾つかの事例を紹介しながら,具体的に考察を加えて行く。4.1 桐生の織物工場保存建築物調査この物件調査の取り組みは,卒研生の出身校の教員の方が,歴史的保存建築物の図面起こしを実施して,建物の登録文化財指定を得ると言う取り組みをされて居られた事によっている。我々の卒研チームは,最初にこの歴史的保存建築物の図面起こしを手伝うと言う形で参加した。先方へのヒアリングを行い,関連する文献検索を行い,資料の読み合わせも実施した。この間に,建屋のオーナーさんとも連絡を取りながら,調査協力への御意向を確認しながら進めて行った。その図面起こし作業が一応の完成を見た時点で,我々のテーマである歴史的保存建築物としての環境調査を開始した。成果物としては,先の図面や建物としての温熱環境の調査データや実測からの報告書などが予定されている(rf. 文献4. 参照)。調査実施にあたっては,予め帳票を準備し,風速・照度・温湿度計・放射温度計・デジタルカメラ・データロガー・ノートパソコン等を準備し,現地に運び込んだ。 これは木骨煉瓦造の建屋である登録文化財申請のための図面起こし作業に協力した4.事例研究

元のページ  ../index.html#41

このブックを見る