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↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓11.関係先との連絡を取る↓フィールド調査によって得られるものは,そこに構成される要素ごとの関係性であり,そこから浮かび上がって来るところの概念としての形相の発見である。それは歴史の中で育まれて来たものであり,その表現方法は異なっても,次の時代へと継承されるべき内容のものであると考えられる。3.1 フィールド調査の始め方初めにその手順について説明を加える。1.最初に,テーマを考える(歴史的な意義や社会的な意義や未踏のもの等…を選定する)2.幾つかヒアリングや問い合わせをして,その分野の様子を知る3.自分の興味あるテーマに関する文献検索を行う(その切り口や構成方法などを理解する)4.いよいよ対象物件を絞る(先方の調査実施条件やその時の卒研生の力量等も考慮に入れる,その他の条件についても正しく受け止める)5.この際に,興味のレベルのみならず,調査参加者の力量やまとめまでの持ち時間等も考慮に入れる6.先方の打合せ窓口のキーマンを知る(調査協力を依頼する)7.最後の成果物を意識して,必要な道具の準備や工程表の作成をする8.調査の実施(項目ごとの調査条件をはずさない様に留意する,特に環境測定の場合には測定条件が大切である)-37-9.調査実施後のデータのまとめを速やかに行う10.成果物(図面・写真・報告書・小論文など)の12.発表会等への参加13.必要に応じて,伝達研修なども行う(次年度へ3.2 手順ごとの説明歴史的な建造物の調査に関しては,その文化的な意義から,世界に二つとはない対象物でもあり,調査方法や調査内容の制限などもあるが,後世に概念性としての形相因の働きと意味づけを残す観点からも取り組んで欲しいと考える次第。1.のテーマの方向性を打ち合わせする。建築空間を成り立たせている四要素があり,概念としての形相因,材料としての質料因,技術としての作用因,建物としての目的因がある。歴史的な概念は,この形相因に含まれる。専門課程の学生さんの場合には,その専門分野で,どんな内容に興味を持っているのかを聞いてあげる事も有効な手立ての一つであると考える。次に2.のヒアリングをするが,この場合の最初の問い合わせ窓口は,行政庁の教育委員会や文化課である場合が多い。建物の保存状態やその所有者,或いはこちらの調査がどの程度まで可能であるかと言う点も大切な点である。この所有者の条件で,所有者の方が管理を行政側に移管している場合があるが,こちらの方が調査許可を行政の方が代行して下さるので,調査許可を頂くのが比較的によく進んだとの印象がある。合掌造りの場合には,最初に実際のオーナーの方に手紙を書いて,現地の教育委員会との連絡を指示され,連絡を取り,一定の理解が得られて,その後,改めてオーナーさんに実測調査への協力をお願いし確認のつなぎ)2.フィールド調査の目的3.フィールド調査の方法論

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