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図9 大会終了後の記念撮影<参考文献>り得意ではない。3点目は,経験による技術力の差である。NHK学生ロボコンでは,大会ごとに競技内容が変わるため,同じ課題でノウハウ・技術を蓄積できるわけではないが,ロボットとしてベースになる部分は共通するものが多い。例えば,足回りや制御方法などは流用できる部分が多く,それゆえロボコン常連校では,時間を短縮して取り組めるようになる。結果として,指導者が行うべきことは,学生のアイデアを分析して,学生の技術で実現できるように支援することである。具体的な仕組みができるまでは,かなり細部まで助言する必要がある。キーとなる試作機構ができあがってしまうと,それをベースに学生の作製したいロボットが作製できる。そのための時間確保も重要である。また,技術・ノウハウや大会の経験についての代替サポートも重要である。目で見て,手にとって動作が確認できる先輩たちの資産がない代わりに,市販品を参考にする。市販品のメリットは,使用実績・サンプルプログラム(先輩のプログラムに相当)と安定性である。デメリットは,コストと手配に時間がかかることである。以上の説明から,職業能力開発大学校にとってNHK学生ロボコンへの参加は,他の大学と比較して,ハードルは高くない。重要なのは「学生の募集」,「アイデアと設計への統合」である。一校でも多くの職業能力開発大学校の参加に期待する。NHK学生ロボコン2016への出場により実践技術教育に主眼をおく当校の技術力を示すことができ,さらにある一定の広報効果があったのではないかと思慮される。NHK学生ロボコンは東京大学をはじめとした優秀な大学が集まっているため,本戦出場が非常に難しい競技大会であるが,ものつくりが強みである全国の職業能力開発大学校であれば十分対抗できると確信した。数少ない知名度の高い技術系の大会であり,職業-29-[1]河合塾 栄冠めざして2016vol.1[2]リクルート進学総研 マーケットリポート[3]NHK学生ロボコン2015・2016 応募要項能力開発大学校を全国に知らしめるためにも他の職業能力開発大学校の出場に期待したい。そして,各校が技術交流等で力を高めれば,優勝することも夢ではないと感じている。2017年度の戦いもすでに始まっている。今年度に引き続き厳しい戦いになると思うが,生産技術科の石田先生,機械系の学生をプロジェクトに加えて全力疾走中である。最後になりますが,NHK学生ロボコンプロジェクトの立ち上げの際にご尽力いただいた末岡前校長並びに宮本前副校長,ものつくりのプロセスについてアドバイスをいただいた福岡職業能力開発促進センター秋山課長,基盤整備センター福永室長,そして応援していただいた多くの方にこの場をお借りしてお礼申し上げます。8.最後に

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