4/2016
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図9 EP電源部図10 追尾装置の優位性機等を用いて電気エネルギーに変え,一旦二次電池(EP)に充電すること利用価値のある柔軟な電源とすることを目的としたものです。EPSは,EP充電部とEP電源部とで構成しています。図8はEP充電部の概要で,図の中の発電部は各種のマイクロ発電機です。充電部は,最大出力点追尾装置(以下:追尾装置)を用いてマイクロ発電機から効率よく電力を取出し,EPに安全に充電するための機能を具備したシステムです。図9はEP電源部で,充電部で充電されたEP取り外して電源部にセットする事で小型民生機器や端末機器などの電源として使用できるように工夫したアダプタです。利便性・安全性と質の良い電源として使用できるように図の中に示す各種の機能を具備しています。追尾装置とは使用条件下において動作している発電機から最も効率よく電力を取り出す装置の事です。図10は追尾装置の優位性を確認するために市販の-20-マイクロ風力発電機を実験用に改造して簡易風洞で行った比較実験の結果です。図10が示すように追尾装置を具備したシステムでは発電開始風速が低くなり,2m/秒から6m/秒の風速領域における発電力の向上が確認できます。このことは自然界や身近に存在する低風速領域の風から効率よく電力を取り出せる事を示しています。プロジェクトでは,マイクロ水力発電やマイクロ太陽光発電についても専用の追尾装置を開発し,評価を行いました。中でも水力発電用追尾装置を具備した雨水発電システムは注目を浴び,当時のBS1世界の経済最前線「身近な水力発電」で取り上げられました。しかし,その頃は「そんな小さなエネルギーどうするの?」という時代でもありましたので目指していた製品化には至りませんでしたが,10数年を経た今,EPSは「自然を活かすエコ技術」の一つとして利用できるものであると考えています。当校の所在地でもある近江八幡市には重要文化的景観第1号に指定された水郷地帯が広がっています。この水郷観光にレンタサイクルを利用して来られる方も年々増えていることから,私は乗ってきた自転車をそのまま固定する事で容易に水上自転車として使用できるフロート部の開発を近江八幡市の商工会議所に提案していました。その頃,アスクネイチャージャパンが人間の関節の軟骨を模倣した高効率のベアリング(軸受け)装置「Bio-Star(バイオスター)」を開発された熊本大学大学院の中西研究室に呼びかけ,滋賀県内の産学分野に紹介し,製品化への共同研究者などを募ろうと「Bio-Star」を採用したマイクロ&クラスター型河川流発電システムの公開実験を行いました。早速,公開実験場に出向き中西教授らから特徴や性能の説明を受け,そこで思いついたのが生物模倣で製作された軸受けと3Dプリンタによって製作したスクリュとを組み合わせた推進装置,つまり「バイオミミクリー」と「新モノづくり」手法をコラボ4.新モノづくりの手法によるフロート部の試作

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