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(画像左)大賀ハス,おぉたむすねィく探検隊,CCBY-SA2.5(画像右)CGofLotuseffect,W.Thielicke,CCBY-SA4.0(画像)Microandnanoviewofgecko'stoe,K.Autumn,CCBY-SA3.0図5 ハスの葉とその微細構造図6 ヤモリの足とその微細構造(画像)MicroviewofGeckoTape,A.K.Geim,CCBY-SA3.0-19-図7 ヤモリテープの微細構造図8 EP充電部このヤモリの接着の仕組みが解明されたのは平成12年の頃です。電子顕微鏡でヤモリの指先を観察したところ,足の裏に細かな毛が1平方メートル当たり10万本から100万本の密度で密生しており,さらに先端が何百本に分岐した構造を持つが判りました。また,先端の分岐した毛の密度は1平方メートル当たり10億本以上となり,この細かな毛の1本1本が,対象物に極めて近い距離まで接近するため,原子や分子間に働くファンデルワールス力によって接着する事が判明しました。図6はヤモリの足を順次拡大して撮影された微細構造です。この構造を模倣して開発されたのがヤモリテープと言われるもので,平成20年に米国の研究チームがカーボンナノチューブを用いて再現し,僅か4ミリ角の「面ファスナー」をガラスに張り,650グラムのペットポトルのジュースをぶら下げる事に成功したことを米国の科学雑誌サイエンスに発表しました。日本では,日東電工㈱らが開発を進め平成24年から特殊な用途で実用化されています。図7は,ヤモリテープの微細構造です。以上は身近に有る製品と近い将来身近に利用されるようになると思われる製品について紹介しました。他にもカワセミの口ばしの形状に学んだ500系新幹線の先頭車両や同じく新幹線でフクロウの風切羽を模倣する事で騒音を低減させたパンダグラフなどがありますが,これらは生物の形状や構造から学んだことに,最新の科学技術やモノづくり技術を融合させることで生まれた革新技術なのです。3.2 自然を活かしたエコ技術「自然を活用したエコ技術」として平成15年に当校の電子技術科と滋賀県中小企業家同友会とでプロジェクトを立ち上げ取り組んだEPS(Energy Pack System)を紹介します。このシステムは,身近に有りながら余りにも小さいことから今日まで見捨てられていたような自然エネルギーをマイクロ風力発電機やマイクロ水力発電「技能の伝承」と「新技術」3

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