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図1 連携協定調印式(出典:近江八幡商工会議所)夢のような21世紀を想像していた私達でありましたが,現実は「環境問題,エネルギー問題,資源の枯渇」等々といった事が大きく私達にのしかかっています。これらの問題を解決する考え方の一つとして今,生物の多様な形態に学び,私達の技術やライフスタイルに,社会や生存戦略に生かそうとする取り組みが「バイオミミクリー」「ネイチャーテクノロジー」「バイオミメティックス」という名のもとに注目を浴びています。つまり「自然に学び,自然を活かそう」という考え方です。私は,平成21年3月まで滋賀職業能力開発短期大学校電子技術科で指導員として勤務していましたが,定年後の再雇用先として平成22年に当校に開設された「人づくり・モノづくりの相談窓口」である地域連携室に配属されることになりました。ここでは「企業のモノづくり連携・支援」「モノづくりを通した地域との交流」といった事を主な仕事としていましたので県内の企業や事業主団体等との関係も年を追うごとに深くなり,県内で活動されている環境・エコ・新モノづくり等に関係した研究会から誘いを受けて参加をさせて頂いておりました。本稿では,私がこれらの研究会等に参加するようになった経緯と,ここで学んだ「バイオミミクリー」や「ネイチャーテクノロジー」から生まれた身近な革新技術の紹介,そして実践例としてこれからのモ-16-ノづくりの方向ともいわれる「新・モノづくり」手法とバイオミミクリーとのコラボレーションによって試作した「自転車を着装する事で容易に水上自転車として利用できるフロート部(以下:フロート部)」について報告いたします。滋賀県では平成20年から滋賀経済同友会が政策の一つとして「企業と生物多様性の研究会」「自然に学ぶ経済の研究会」を発足し,私達が抱える環境やエネルギー,資源の問題の解決に向け勉強会を進めてきました。また,平成23年10月には滋賀県立大学の副学長仁連孝昭教授や近江八幡商工会議所の会頭で滋賀経済同友会の特別幹事でもある秋村田津夫氏らが中心となって進められていたNPO法人アスクネイチャージャパンが近江八幡市に設立されました。この団体は,産官学民が協働して自然の知恵から木戸 規雄1.はじめに2.滋賀県で始まったバイオミミクリーの取り組み〜自然に学び・自然を活かすモノづくり〜身近なところに革新技術

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