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図6 3次元動作分析装置用のマーカー,およびアイマークレコーダを装着した被験者図7 仕上げ加工時の頭頂部の軌跡(一例)[11]図8 聴覚実験の結果[12]。上:切込み(Depthofcut)時の切削音に対する被験者の判断結果(円内数字は判断者数)。下:切込みに対する切削音の音圧レベル(左)と音圧変動振幅(右)。被験者は中級者16名。-8-4.4 視線の評価図5(一例)のようなアイマークレコーダ映像から,熟練者3名(技能五輪経験者)と中級者1名で作業時の注視点を比較した[11]。荒加工時は,技能レベルにかかわらず切削点を注視していて大きな差異は認められなかった。一方,仕上げ加工時のテーブル送り中では,中級者の注視点は切削点近傍にあったが,熟練者では,工具入り口では切削点近傍にあり,その後は作業台や測定器に移動し,注視範囲が広がる傾向がみられた。これは,熟練者は仕上げ加工中に次の工程を意識していたことを示唆するものである。同時に,3階層モデルで考えると,仕上げ加工中は知識ベース行動寄りと考えられ,中枢神経系の評価とも矛盾しない。4.5 身体動作の評価図6は,モーションキャプチャにより身体動作を三次元で測定中の様子を示す。被験者の肩,肘,手首,腰,頭頂部,帽子のつばに見える小さな球状のものは,赤外線を反射するためのマーカーである。図7は,熟練者(技能五輪経験者)と中級者において,作業中の頭頂部の軌跡を解析した結果[11]である。熟練者は中級者よりも移動量は小さかった。これは,熟練者の多くの経験が,作業に対する不安感を取り除き,作業効率を高める行動をとっていると推察できる。熟練者に無駄な動きがないとすれば,無駄な動きを生成するための動作手順計画が不要となり,熟練者はスキルベース行動寄りで作業したと推定できる。なお身体動作の測定は,視線の測定と同時に行ったが,神経系の測定とは別に実施した。理由は,モーションキャプチャの赤外線ストロボが脳血流量計測

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