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図3 ねじ切り加工テキスト図4 長尺物加工の実技指導の様子み手法(直進法・斜進法・千鳥法),加工手法等の指導を受けた。図2に実技指導の様子を示す。ねじ精度の測定作業では,マイクロメータによる外径測定だけでなく三針による有効径測定,フランク面の粗さ評価,および嵌合による評価方法について指導を受けた。以上の普通旋盤によるねじ切り加工に関して,指導技法の統一化と指導ポイントの明確化のために,能力開発セミナー用カリキュラムとテキストを参加者全員で作成した。作成したテキストの一部を図3に示す。3.2 長尺物加工の技能伝承長尺加工物のテーマでは,軸の直径に対する軸の長さ(L/D)が10以上のものに対しての旋盤加工による長尺物加工について技能伝承を行った。このテーマでは,①普通旋盤に付属されている固定振れ止め,および移動振れ止めの使い方,②自作治具の設計におけるポイント,③長尺加工における切削条件などの問題点の洗い出し,④長尺加工における段取りの4項目について習得することを目的とした。その際の実技指導においては,普通旋盤の中空主軸内径側に材料を通すことが可能な丸鋼素材(φ38×700)の場合と,材料を通すことが不可能な丸鋼素材(φ65×600)の場合の2種の題材を設定し,素材の大きさを考慮した段取りを習得できるように計画した。普通旋盤による長尺物加工に関する経験や知識-4-が「顔ねっと」の参加者にはほとんどなかったため,初めに長尺物加工に関する加工時の問題点についてベテラン指導員より講義を受けた。次に,参加者で問題点についての解決方法を見出すために,文献調査やディスカッションを行い,共通認識の確立を図った。まず初めに実技作業として,普段の訓練で行っているスローアウェイバイトやセンター押しによる旋削加工手法で,φ38×700の素材を使用して長尺物加工を参加者全員が行った。この時,センター押し作業により旋削加工を行っている最中に,加工物が切削抵抗により押され主軸台側に移動してしまい,心押台側の回転センターで固定しているはずの加工物が,センター穴から外れ,作業者に危険性を与えることを指摘された。また,加工中の長尺物が切削による発熱により熱膨張し,軸方向長さが増加することにより長尺物がたわみ,円筒度が悪化する可能性があることも指摘された。この2つの対策として,材料を固定する心押軸の支える圧力を切削加工中に調整する心押し作業について指導を受けた。また,今回の工具や加工手法では表面粗さおよび円筒度が目標とする仕上がり精度に達しないことも参加者全員が把握できた。次に,長尺物加工で使用される2種類の振れ止めの使用方法と加工作業について実技指導を受けた。図4に移動振れ止めを用いた長尺物加工の実技指導の様子を示す。

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