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図9 啓成会高等職業技術専門校義肢・装具科 装具製作実習と作品図10 大分県竹工芸・訓練支援センター竹工芸科 作品展示図11 京都府立陶工高等技術専門校陶磁器科 ろくろ実技の指導図12 東亜和裁 和裁科 縫製風景図9は,啓成会高等職業技術専門校の義肢・装具科(1年)である。歴史は古く,大正13年にさかのぼる。関東大震災の罹災者に対して職業講習(訓練)や義肢の研究製作事業が開始されたことによる。国家資格である「義肢装具士」の免許を取得することはできない。そのため,人体から直接採寸することはできないが,採寸されたデータをもとに義肢装具を製作することはできる。平均応募倍率は4倍を超え人気が高い。図10は,大分県立工芸・訓練支援センター竹工芸科の実習作品である。大分県の竹工芸産業の後継者を育成することを目的に設置された。国の伝統的工芸品に指定されている「別府竹細工」や生活用工芸品の製作に必要な技能や知識が習得できる。訓練期間は2年,県立の職業能力開発校としては,全国唯一の訓練科である。3割〜半数が県外出身者である。修了後は,全員が大分県内に定住している。米国等では,インテリアの一部として竹を使った近代的なアート作品が好まれる。商品の開発力や販売力が欠かせない。-32-図11の京都府立陶工高等技術専門校陶磁器科は,昭和21年に創設された。これまでに約3,000名の修了生を送り出してきた。その多くが工房や窯元で陶芸作家や絵付師等として活躍している。約60名の訓練生の2/3が大学・短大卒,しかもそのうち約半数が芸術系卒である。社会経験者も多く,年齢も上がっている。しかし,全員が陶芸のプロを目指し全国から集まっており,そのモチベーションは非常に高い。訓練生の割合は,7割が女性で応募倍率は3倍を超える。図12は,呉服販売の専門チェーン「ほていや」が運営する東亜和裁の和裁科である。和服業界にとって高齢化がすすむ和裁技能士の後継者育成は欠かせない。しかし,一人前の和裁技能士になるには長い時間がかかる。東亜和裁では,認定校として,これまで多くの優秀な技能士を育成してきた。訓練期間は,和裁基礎コースが2年,和裁技能士育成コースは4年である。

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