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合同会議日が目標の締切日となることから緊張感を持ちながらもメリハリのある活動となり,学生の計画遂行力の向上につながったと考える。(3)外部と学生の接点を増やす学生が外部協力者と直接顔をあわせる場を多く設定した。合同会議には学生と教員で参加し進捗報告や仮説提案,外部協力者への質問は学生が行うこととした。教員からのフォローや指摘は極力避け,学生が外部の方と直接,対話するよう促した。このように学生が外部協力者の方々と直接コミュニケーションをとることで社会性の向上と当事者意識を高めることをねらいとした。また可能な限り学生と一緒に現場へ足を運んだ。使用環境の観察やユーザの方への直接的なインタビューを通じて現場の状況把握に努めた。エゾシカ囲いワナの例では開発前に学生と教員でワナ設営予定地を訪れた。設営地は地形的に風が集まりやすく,冬には雪によって吹き溜まりになる箇所も想定できた。そのため装置の配置場所等の対策を事前に検討できた。図4に外部協力者と学生が協力しエゾシカ囲いワナを設営している風景を示す。こうしたフィールドワーク的な活動は,学生にとってプロジェクトの意義を肌で感じとるよい機会となり,課題達成まで使命感をもってやり抜く原動力となると考える。さらに対象に関連しそうなイベントに幅広く参加した。「エゾシカ囲いワナ」の例では,外部協力者主催のエゾシカ料理イベント(図5)に学生と共に参加しフルコースを頂いた。エゾシカ肉を味覚で感じることで,エゾシカ肉の消費先について知見を広げた。図4 エゾシカ囲いワナの設営図5 エゾシカフルコースの試食図6 高級オルゴールの試聴<参考文献>-17-[1]「応用課程の考え方」雇用能力開発機構職業能力開発指導部2009また「オルゴール加工機」では,外部協力者のオルゴール販売店に訪問し,高級オルゴールを試聴させていただいた。オルゴールの価格差と音色の関係について見聞を深めた(図6)。このように校外で多種多様な経験を積むことで,技術一辺倒ではなく,幅広い教養を身につけ,心の豊かさを育むことをねらいとした。今回,地域ニーズを題材とした開発課題に取り組んだ。まだ試行錯誤の段階ではあるが,学生の教育訓練効果が高まるよう,仮説を提案し続けるスタイルや幅広い見識を持ってもらうよう学生への指導を工夫した。学生にとって外部協力者と共同でプロジェクトを推進することで,学校内だけでは得難い経験を積んだと考える。それらの経験が学生にとって将来の職業生活にプラスになることを期待している。4.まとめ

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